僕 の 腕 に 噛み 跡 つけ た あと 歌詞。 内出血の治し方5選!正しい処置で早く治すようにしよう!

友「お前ギターな」男「弾いた事ないよ!!」|エレファント速報:SSまとめブログ

僕 の 腕 に 噛み 跡 つけ た あと 歌詞

身体が無くなくなるような酷く嫌な感覚。 次の瞬間、激しい衝撃が僕の身体を襲い僕は意識を失った。 (赤い海だ・・・・・・) 気がつくと僕は赤い海の中を漂っていた。 慣れない浮遊感に戸惑いながら僕は周囲を見渡した。 (ここはどこだろう・・・・・・ 僕はLCLの海に溶けてしまったんだろうか? でも身体はちゃんとあるみたいだ) 僕は自分の身体を確かめて・・・・・・固まった。 病的に白い肌と細い手足。 程よい大きさの双丘が身体を動かす度に揺れる。 「えっ!? ちょっと待ってよ!」 僕は下を向いて男性のシンボルを確かめた。 「うそっ・・・・・・」 そこにあるのは蒼色の茂みだけ。 男性のシンボルはどこにもなかった。 (これって・・・・・・もしかして・・・・・・) 身体がかくかくと震える。 (僕は女の子になっちゃったのか!?) 「クスクスクス・・・・・・」 「何!?」 ゆらりと僕の前に影が現れる。 「そんな・・・・・・!?」 海月のように力なく赤い海を漂う影。 それは綾波だった。 顔に空虚な笑みを浮かべたまま、 綾波が僕を見つめる。 「ここはもしかして・・・・・・」 赤い海の中に浮かぶ幾つもの影。 それはかつて、僕が見たことがある光景だった。 そう、ここは確か・・・・・・。 「セントラルドグマにあった水槽?」 僕の目の前に浮かぶ綾波は、僕の問いに答える事も無く 水槽の奥へと流され消えていった。 「とりあえずここからでよう」 僕は水面を目指して泳ぎはじめた。 思ったより身体が重い。 なんとか僕は水面に辿り着くと 水槽の縁についている梯子につかまって身体を休ませた。 ぽたぽたと垂れる液体が気持ち悪い。 僕は水槽のガラスに映った自分の顔をみた。 水槽に映る僕の顔。 それはどう見ても綾波の顔だった。 「これから・・・・・・どうしよう」 梯子に顎を乗せて悩んでいる僕の右足に、こつんと何かが当たった。 「え? うわっ!?」 次の瞬間、僕の右足が強く引っ張られた。 不意をつかれた僕は何もできずに、水中に引きずり込まれていく。 僕を水槽に引きずり込んだのは綾波のスペアの一体だった。 スペアは手を離して僕を解放すると、僕の腰に手を回して身体を摺り寄せてきた。 僕の頬をスペアの両手がやわらかく包み込む。 そしてゆっくりとスペアの唇と僕の唇が重なった。 「んん!?」 いきなりの出来事に僕は混乱した。 一体何!? どういう事!? スペアの舌がゆっくりと僕の口をこじあけて行く。 僕の口内に侵入したスペアの舌は、生き物の様に蠢いて僕の舌と激しく絡まった。 「んはっんっ・・・・ん・・・・・・んんっ!」 あまりに濃厚なキスに、僕の意識が朦朧としてくる。 (な・・・・・・んで?) スペアの左手が僕の胸に添えられて、つんと飛び出した突起物を摘む。 「んあっ!」 甘い刺激が僕の身体を駆け巡った。 「ああっだめ・・・・・・」 余りの快感に僕は腰を引いて逃げようとしたけど、スペアの右腕は僕の腰を しっかりと抱きしめていてどうする事もできなかった。 左手で優しく僕の胸を揉みながら、スペアは人差し指で胸の先端を弾いた。 「んあぁっ!!」 前よりも強い刺激が僕を襲う。 僕は激しく身をよじった。 その隙に僕の腰を抱いていた右腕が外され、右手が僕の股間の茂みに当てられた。 スペアの中指が僕の谷間に浅く侵入する。 「ひゃぁんっ!」 僕は堪らず恥ずかしい声を上げてしまう。 スペアは僕の反応を楽しむように、指を上下にゆっくりと動かしていく。 「ひいいいあぁあっ!? らめっ!」 あまりの快感に僕の身体が激しく痙攣する。 「ひぃぁあぁっ! あんっああっ!!」 頭の中で発生した小さなスパークが僕の理性を徐々に焼いていく。 スペアの腰を強く抱きしめ、僕は押し寄せてくる快感を必死に絶えた。 そんな僕に止めを刺す様に、スペアの中指が僕の陰核を捉える。 「んあっああっ!!!」 極大のスパークが頭の中で炸裂した。 全身の力が抜けて身体がびくんびくんと痙攣する。 頭の中が真っ白になって何も考えることが出来ない。 けれどスペアは僕の事などおかまいなしに、再び中指を陰核にあてる。 そして指の腹で陰核を激しく擦りはじめた。 「ひあぁあっ!!だめぇあっああああっ!」 余韻が残る内に再び陰核をせめられ僕は悲鳴を上げた。 「んっああっ! もう・・・・・・ゆるして!」 僕の言葉を無視してスペアは執拗に僕を責めたてる。 もう何回迎えたか判らない絶頂の衝撃に 僕の意識は吹き飛んでしまった。 『何・・・・・・? どういう事!?』 誰・・・・・・・?人の声が聞こえる・・・・・・。 『なんでレイのスペアに魂が入ってるの!?』 この声・・・・・・リツコさん? 僕はゆっくりと瞳を開けた。 『何・・・・・・? どういう事!?』 誰・・・・・・・?人の声が聞こえる・・・・・・。 『なんでレイのスペアに魂が入ってるの!?』 この声・・・・・・リツコさん? 僕はゆっくりと瞳を開けた。 「うっ・・・・・・」 身体を動かすとじゃらりっと音がした。 「え?」 僕は自分の両腕が鎖で束縛されているのに気がついた。 両腕は上に吊るされていて、付け根の関節がきりきりと痛む。 「気がついたのね」 目の前にリツコさんが立っていた。 リツコさんの表情は険しい。 「率直に聞くわ。 あなた何者?」 リツコさんはゆっくりと白衣の中から拳銃を取り出して、僕に狙いを合わせた。 どうしよう。 なんでこんな事になっているのか僕自身わかってないのに、どう説明したらいいんだろうか? 僕はしばらくどう答えるべきか考えたけど、何も思いつかなかった。 「わ・・・・・・わかりません」 考えに考えて僕の口から出た言葉は、あまりにもお粗末な物だった。 ドン! 「ひっ!」 轟音と共に、頭上の壁に穴が穿たれる。 「わからないって事はないでしょう? スペアにレイ以外の魂が迷い込むことなんてあるはずないんだから」 リツコさんの冷酷な声。 拳銃が少しずつ下にさがっていく。 「次は外さないわよ?」 リツコさんは本気だ。 僕の身体ががくがくと震える。 どうしよう? 何か言わないと撃ち殺されてしまう。 「ぼ・・・・・・ぼくは・・・・・・」 「ぼく?」 「赤い海の畔にいて・・・・・・気がついたらここにいました」 かなり大雑把な説明だけど、これ以上説明のしようがない。 「なるほどね。 本当の事は死んでも言わないって事ね」 リツコさんがゆっくりと僕に近づいてきて、僕の額に銃口を当てる。 「あ・・・・・・ああっ・・・・・・」 恐怖で言葉が出ない。 膝が震えて、目から涙が溢れてきた。 「それじゃさようなら」 僕はぎゅっと目を閉じた。 あれ・・・・・・? 銃で撃たれる衝撃は来なかった。 おそるおそる瞳を開けると、リツコさんは銃を下ろして不気味な笑顔を僕に向けていた。 「殺すよりいい事を思いついた。 あなたを飼う事にするわ」 「えっ・・・・・・?」 「言っておくけど拒否権なんてないわよ? まぁ拒否なんてしたらどうなるか分かってるでしょうけどね」 「はい・・・・・・わかりました」 僕は頷いてリツコさんに飼われる事に同意する。 ここで殺されるよりもましだと思ったからだ。 「さて、私の名前は赤木リツコよ。 あなたの名前は?」 「覚えて・・・・・・ないです」 僕は咄嗟に嘘をついた。 碇シンジと言っても信じて貰えないだろう。 「それじゃあ私が名前を付けてあげる。 あなたの名前は・・・・・・そうね。 ソウカにしましょう」 「ソウカ・・・・・・・?」 「蒼い花と書いて蒼花よ」 リツコさんは僕を飼うにしてはまともな名前を付けてくれた。 「ありがとうございます。 リ、赤木さん」 「違うわ。 私の事はこれからご主人様といいなさい」 「はい・・・・・・ご主人様」 ご主人様と呼ぶ事への抵抗と羞恥心で僕の顔が熱くなる。 リツコさんは満足気に頷くと、鎖を解いて僕を解放してくれた。 「これを着なさい」 リツコさんは僕に白衣を渡してくれた。 「ありがとうございます」 そうだ。 僕素っ裸だったんだ。 僕は急いで白衣を着た。 「あなたの戸籍は私が何とかするわ。 スペアは原因不明の病気により一体処分っと・・・・・・」 リツコさんが小さな端末を弄りながら淡々と言う。 「よし、これでいいわ。 それじゃ行きましょうか」 「どこに行くんですか?」 「私の家よ」 そういえばリツコさんの家に行くのって初めてだよね・・・・・・。 僕は歩き始めたリツコさんの後姿を見ながらそう考えていた。 「うわ・・・・・・凄い」 リツコさんの家は高級マンションだった。 部屋は最上階。 中はかなり大きくて小部屋が五つもある。 僕は居間のソファーに座ってぼーっとしていた。 リツコさんは『そこで待ってなさい』と僕に言って、自分の部屋に行ってしまった。 「蒼花、これに着替えなさい。 私のだけど」 居間に戻ってきたリツコさんが、僕にパジャマを渡す。 「ありがとうございます」 「部屋は一番奥の部屋を使ってね」 「はい、分かりました」 リツコさんは底抜けに優しかった。 「それじゃあまた明日ね」 リツコさんはそう言って自分の部屋に戻っていった。 僕はリツコさんが言っていた一番奥の部屋に行き、扉を開けて中に入った。 部屋に入った途端、パチンという音がして勝手に部屋の照明が点る。 部屋の中には鏡台やクローゼット、そしてベッドが置かれていた。 僕は床にパジャマを置いて白衣を脱いだ。 疲れきった重い身体を動かして、床に置いたパジャマを取る。 のろのろとパジャマに着替えた僕は、白衣を床に脱ぎ捨てたままベッドに身体を沈めた。 そのまましばらく瞳を閉じて、今日起こった出来事を整理する。 サードインパクトが起きて。 気がついたら赤い海が目の前に広がっていて・・・・・・ 隣にアスカが居て・・・・・・あれ? それからどうしたんだっけ? アスカが何かを言った事は覚えてるんだけど、何を言っていたのか思い出せないや。 セントラルドグマの水槽、ダミープラントって言ったかな?そこで目が覚めるまでの記憶がさっぱり抜けてる・・・・・・。 リツコさんが壊したはずの綾波のスペアがあると言う事は・・・・・・過去に戻ってきたって事? 一体何がどうなっているんだろう。 そこまで頭の中で一気に考えた僕は、綾波のスペアに襲われた事を思い出して真っ赤になる。 しかも目覚めてすぐいきなりあんな事をされちゃったし・・・・・・あぁもういい寝る! 頬の火照りを隠すように僕は枕に顔を埋め、夢の世界に飛び込んだ。 次の日の朝。 僕が起きて居間に行くと、既にリツコさんはテーブルに座ってコーヒーを飲んでいた。 「おはようございます」 「おはよう」 リツコさんは僕に挨拶を返して、新聞紙を読み始めた。 洗面所の場所を教えてもらって、顔を洗いに向かう。 「ちょっと待って。 ・・・・・・はい、これ」 呼び止められた僕は、リツコさんからコンタクトケースとブラウンのカラーリング材を受け取った。 「このコンタクトレンズをつけて、髪も染めてきて頂戴」 「はい、分かりました」 なんでだろう? 僕はそう思いながら、再び洗面所に向かった。 洗面所に着いて顔を洗い、僕は鏡の中の自分をまじまじと見つめた。 鏡には、ぽたぽたと垂れる雫をそのままにしてきょとんとしている綾波の顔が映っている。 やっぱり慣れないよこれって・・・・・・。 僕はため息をついてタオルで顔を拭くと、コンタクトケースからレンズを取り出した。 レンズはカラーレンズで色はブラック。 初めてのコンタクトレンズの装着に戸惑ったものの、何とか装着する事に成功した。 鏡を覗いてみると、僕の瞳の色は赤色から黒色になっていた。 続けて髪染めに取り掛かる。 専属の櫛にムース状の染料液を乗せて髪を梳かしていく。 髪全体に塗ってから十分程置くと、蒼銀の髪が綺麗な栗色に変わっていた。 上手に染まっている事を確かめてから、シャワーで染料液を洗い流してドライヤーで髪を乾かしていく。 少し髪に湿り気を残す程度でドライヤーを切ってから、軽く頭を振った。 それから髪を軽くブラッシングして、空のカラーリング材の容器を洗面所の下にあるゴミ箱に入れて コンタクトケースを左手に持ち、僕は居間に向かった。 「あら、上手に染めることができたのね」 居間に戻ってきた僕を見てリツコさんが微笑んだ。 「はい、なんとか上手に出来ました」 僕は少し照れながら、リツコさんに微笑みを返した。 「蒼花、昨日の内にネットであなたの服と下着を買って置いたから。 たぶん昼過ぎに届くと思うからそれを着なさい」 「いつの間に・・・・・・ありがとうございます」 「必ず着るのよ」 リツコさんがにやりと笑った。 僕の背筋に悪寒が走る。 身の危険を感じて僕はこくこくと頷いた。 「あとあなたの戸籍の事だけど、あなたは孤児で苗字は御堂。 両親はセカンドインパクト時に死亡し十四歳まで施設暮らし。 十五歳の誕生日迄に孤児院を出て行く決まりがある為、ご両親にお世話になった私が引き取ったという事にしてあるわ」 「は・・・・・・はぁ」 「貴方の誕生日は三月三日。 桃の節句よ。 さあここまでで何か質問はある?」 「あ、あの・・・・・・僕は御主人様に飼われるんですよね?」 「そうよ」 「あの・・・・・・どうしてここまでしてくれるんですか?」 ふっと沸いた疑問を思い切ってリツコさんに聞いてみる。 「私はペットをとことん可愛がる趣味なのよ」 あっさりと言葉を返すリツコさん。 「何か問題でもある?」 無言になってしまった僕をリツコさんはじろりと睨みつけた。 「いえ、ないです」 ぶんぶんと首を横に振る。 「そう、それじゃ私は仕事に行くから。 大人しくしているのよ」 リツコさんが肩掛けの鞄を持って玄関に向かう。 「行ってくるわ」 「行ってらっしゃい」 玄関でリツコさんを見送った後、僕は居間に戻ってソファーに座った。 今日ってそういえば西暦何年の何月何日なんだろう。 テーブルの上に置かれたままの新聞紙を広げてみる。 新聞紙の日付は西暦二千十五年五月四日と書いてあった。 確か僕が第二新東京市からこっちに向かったのが五月五日だったから・・・・・・ 「えっ!? それじゃあ明日第三使徒が来ちゃうってこと!?」 僕は慌てた。 リツコさんに『明日第三使徒がここに来ますよ』って言っても信じて貰えないだろう。 ならばどうするかと考え込んだ所で僕は一つの事実に気がついた。 それは僕が今『碇シンジ』ではない、という事実。 僕は『御堂蒼花』であって『碇シンジ』じゃないし、『チルドレン』でもない。 という事は、僕はこの世界にいるはずの、もう一人の『碇シンジ』に全てを任せておけばいいのだ。 「なんだよ・・・・・・心配して損しちゃった」 ほっと気を抜いた瞬間僕のお腹がなった。 朝ごはんを食べて無かった事を思い出して、食パンをトースターに入れる。 五分後、こんがりと焼けあがったパンにバターを塗って、もぐもぐと食べながら、僕はこれからどうするかを考えた。 こんな格好で外にでる事なんて出来ないし、いつここに届くか分からないから外出は却下。 それじゃあゲームでもしようかなと思ってテレビゲームの類を捜してみたけど一切ない。 よってゲームで暇を潰すのも無理。 となると僕が出来る事は唯一つ。 「二度寝でもしよっと」 僕はソファーで眠りながら服が届くのを待つことにした。 ピンポーン。 うるさいな。 誰だよ。 ピンポンピンポンー。 容赦なく鳴り響くブザー音が僕を眠りから覚ます。 起きて時計を見ると一時。 時間的に見ておそらく宅配便が来たのだろう。 「は~い」 ぺたぺたと音を立てて、僕は玄関に向かう。 「こんにちわ。 宅配便でーす」 思ったとおり宅配便だった。 一応覗き窓で宅配員を確かめてからドアを開ける。 「あ、すみまへっ・・・・・・!?」 ドアを開けた僕を見て、宅配員のおじさんの声が裏返る。 「あ、あのすみません。 こ、ここにサインお願いします!」 顔を横に向けたままボールペンを差し出すおじさん。 僕は差し出されたボールペンを受け取っておじさんの顔を見つめた。 顔が真っ赤だ。 しかも息が荒い。 風邪でも引いたのかな、と思いながら下を向いてサインをする。 おじさんの喉がごくっと鳴った。 「身体の調子でも悪いんですか?」 僕の質問におじさんはびくっと身体を震わせた。 「い・・・・・・いやなんでもないよ」 「そうですか? それならいいんですけど」 僕はサインを書き終えて、ペンを返そうと顔を上げた。 どさっという音がして地面に荷物が落とされる。 次の瞬間、僕はおじさんに抱きしめられていた。 タバコの臭いが僕の鼻を擽る。 僕が逃れようと身じろぎすると、おじさんはさらに強く僕を抱きしめる。 悲鳴をあげようとした僕の口をおじさんの手が塞いだ。 必死に暴れる僕を片腕で抱えてドアに押し入り、おじさんが家の中に入ってくる。 家の中に入ったおじさんは、後ろ手でドアの鍵を閉めると僕を床に叩きつけた。 「ぎゃんっ!」 後頭部がもろに床に当たる。 その途端、カクンっと僕の力が抜けた。 身体に力が入らない。 「へへ、お前が、お前が悪いんだぞ。 そんな格好しやがって、誘ってんだろうが!?」 僕のパジャマが引きちぎられて、胸が外気にさらされる。 身体を丸めて胸を隠そうとする僕におじさんが圧し掛かってきた。 「来るな!」 おじさんに蹴りを放つけど、やすやすと足首を取られてしまう。 「意気の良いお嬢さんだ」 下品な笑いを浮かべながら、おじさんの手が僕の胸を触る。 「んっ・・・・・・!?」 ぞくっと僕の背中に快感が走る。 そんな、僕襲われてるのに感じてるの!? 「はん、ぁあぅ・・・・・・」 もう片方の手が僕の茂みに軽く爪を立てる。 なんとも言えない快感に僕は戸惑う。 「へっへへ・・・・・・もう我慢できねーよ」 おじさんがチャックを降ろす音が聞こえた。 「いやだっ! やめてよ!」 「うるせぇ!」 おじさんが左手を振り上げ、僕を殴ろうとして・・・・・・動きを止めた。 その後頭部には鈍く光る拳銃。 いつの間にか、おじさんの背後にリツコさんが居た。 「全く忘れ物をして取りに帰ってきてみたら・・・・・・あなた、私のペットに何をしてるのかしら?」 氷の冷笑を浮かべたリツコさんがおじさんに問う。 「え、いや、その・・・・・・」 おじさんは冷や汗をだらだらとたらしながら意味不明な言葉を口走る。 「さっさと股間の汚いモノをしまって出て行きなさい!」 「ひいいっ!?」 おじさんは一目散に部屋を飛び出て、エレベーターホールに消えていった。 ほっとして放心状態になる僕に、リツコさんが近寄る。 「あ、御主人さまありがとうございま・・・・・・」 僕の言葉は続かなかった。 リツコさんが平手うちで思いっきり僕を殴ったからだ。 「あなた、なんで勝手に私に黙って男を部屋に連れ込んでるのかしら?」 「え・・・・・・?」 リツコさんの言葉の意味が分からなくて、僕の頭は混乱した。 連れ込んだってどういう事? 僕襲われてたんだよ? 「ち、違います! 僕連れ込んだりしていません!」 リツコさんがまた手を振り上げる。 次の瞬間僕の頭に閃光が走った。 「ちゃっかり鍵までかけてそういう事を言うわけ!」 「違います!」 また閃光が走る。 僕は堪らず床に倒れ込んだ。 肩を上下に揺らしてリツコさんが僕を睨み付ける。 「いい加減認めなさい。 私は実は淫乱なペットですって」 「違います! 僕は淫乱なんかじゃないです!」 僕は激しく首を振って否定する。 リツコさんはそんな僕を嘲笑うかのように口を歪めた。 「あなた、私が知らないと思ってる? ダミープラントでの事」 「えっ?」 「あなたの痴態はしっかりとMAGIに録画されているわ。 まぁ私だけしか見れない極秘ファイルに保存されているけど」 「ああ・・・・・・」 「私が見つけた時のあなたときたら・・・・・・口から嫌らしく涎を垂らしたまま身体を痙攣させて気絶していたのよ? 一体どうしてかしらね?」 「あ・・・・・・あう・・・・・あ」 「認めてしまった方が楽よ。 『私は実は淫乱なペットなんです』ってね」 「ち・・・・・・ちがいま・・・・・・」 「まだいうの!」 「あうっ!」 リツコさんの指が、僕のズボンの上から谷間に侵入する。 そこは・・・・・・身体の奥から湧き出す蜜で溢れそうになっていた。 「こんなになってるじゃないのよ。 これでも認めないわけ?」 ぐりぐりと指が恥肉の周囲を弄ぶ。 リツコさんの目は据わっていた。 「・・・・・・です」 「聞こえないわよ?」 「そうです! 僕は実は淫乱なペットなんです!」 僕の瞳から涙がこぼれる。 恥ずかしさの余り身体中が紅潮する。 「そうよ、はじめからそう言えば可愛がってあげたのに」 「ひっ!? あぅぅあっ、あっ!」 リツコさんの指が容赦なく僕の谷間に侵入して中を掻きまわす。 あまりの快感に僕は悲鳴をあげる。 「ほら! いくんでしょ!? いっちゃいなさいよ!」 耳元で囁かれる甘い誘惑。 息が当たるたびに、僕の背中がびくんと動く。 「あぁああああっ!あっ!あああああああっ!」 リツコさんの指が僕の中で暴れる。 軽く壁を擦りながら、何かを探すように動き回る指。 そして指が僕のある一点を捉える。 脳が弾けそうな今までに無い快感が僕を襲った。 「くぁあぁあああ・・・・・・」 唇を噛み締めてなんとか快感に耐える。 「ふふ、ここがあなたのスポットね」 ぐりぐりと指を動かしてその一点を攻めるリツコさん。 「うっ・・・・・あがっ! あああっ! ひぃあああああああ!」 親指が僕の陰核に当てられて、中に入ってる指と共に僕を攻め始める。 「もう! もうだめです! 許してくださいご主人様!」 「まだ駄目よ」 「そんな!」 リツコさんの冷酷な言葉に僕は思わず声を上げて泣き始めてしまう。 「うあああぁああん! ごめんなさい! ごめんなさい! ご主人様! もういかせて下さい!」 「ふふ・・・・・・本当に可愛い子」 リツコさんの舌が僕の頬を伝う涙を舐める。 それだけで達しそうになってしまう。 「さあ、いきなさい」 リツコさんが僕の耳朶を軽く齧った。 その瞬間、僕の身体の奥で熱いものが弾けて脳髄を焦がしていく。 やがてそれは全体に広がっていき・・・・・・ 「あああっ!? ふああぁあああああっ!!」 四肢を痙攣させ、快感に振るえて僕は絶頂に達した。 「はぁ・・・・・うっ・・・・・ううん・・・・・・」 断続的に痙攣して絶頂の余韻を味わう僕。 「耳朶を齧っただけでいっちゃったのね」 僕は絶頂の余韻で意識が朦朧として答える事ができない。 「あなたは私の可愛い『淫乱な』ペットなのよ。 解ったかしら?」 「・・・・・・は・・・・・・い・・・・・・」 それだけなんとか答えるだけで精一杯だった。 僕は未だに引かない快感の波に翻弄され・・・・・・そして意識を手放した。 僕は闇の中を漂っていた。 ああ、僕、リツコさんにいかされちゃったんだ。 僕って本当に淫乱な奴だよね・・・・・・。 自嘲しながら僕は闇を見つめた。 光一つ無い闇の中に、ぽうっと燐光が湧いて、蒼銀の髪を持つ少女と紅の髪を持つ少女が浮かび上がる。 それは僕にとって懐かしい人。 綾波とアスカだった。 『そうよ。 碇君は淫乱なの。 私の胸を触って興奮していたもの』 綾波が淡々と言い、 『はん! 今頃気がついたの!? 意識の無いあたしにあんたが何をしたのかよく考えて見なさいよ!』 アスカが腰に手を当てたまま、烈火のような勢いで僕に言う。 「うん。 僕は淫乱なんだよ綾波、アスカ。 そしてリツコさんのペットなんだ」 僕はそう言って二人を見つめる。 二人は微笑むと、僕をそっと抱きしめてくれた。 『自分を認めたのね。 それはとても大事なこと』 『さあ、もどりましょう。 光のある世界へ』 二人の姿が弾けて、蒼色と紅色の光球に変わる。 そして強烈な閃光を放ち、僕はその光に包まれていった。 「う・・・・・・ううん・・・・・・」 気がつくと、僕は自分の部屋でベッドに寝かされていた。 「夢・・・・・・か」 毛布を退けて、起き上がる僕の枕元でカサリと言う音がする。 僕の枕元に一枚のメモ用紙があった。 『蒼花へ。 今から仕事場に戻るわ。 服はあなたのベッドに下に置いてあるから。 またあんな事したら次は無いわよ。 あと服! ちゃんと着なさいよ! 着なかったらお仕置きよ!』 「お仕置きってリツコさん・・・・・・酷いや」 気だるい身体を動かして、ベッドから降りる。 パジャマは新しい物に変えられていた。 少しの不安と期待を持って、ベッドの下に置いてあるダンボールを開けてみる。 「えっ!? これって・・・・・・」 僕の目に飛び込んできたのはキワドイカットのショーツと可愛いブラ。 そして、どうみてもこれはやりすぎとばかり短い、紺色をしたミニスカートのメイド服と純白のエプロンだった。 「こ・・・・・・これを着ないといけないの!? 他のはないの!!?」 僕はダンボールからどんどん服を取り出していく。 中に入っている服はすべてメイド服で、ブラとショーツも同じようなモノしかない。 「ってええ!? こ、これもなのお!!?」 一番下から出てきたもの。 それは首輪。 ネームプレートには『 Midou. Souka for Rituko 』と刻まれていた。 「ははは、あはは・・・・・・」 さてここで問題です。 あなたは究極の二択に立たされてしまいました! 一:全て着ない、完全無視! 二:お仕置きという名の改造を受ける! さあ~時間は三十秒です!チッチッ・・・・・・。 「ううう・・・・・・着るしかないよね。 お仕置きは嫌だし・・・・・・」 僕はほんの二秒で一を選択する。 だってお仕置きが本当に怖いんだもん。 のろのろと着替えを始めた僕は、はっとある事に気がついた。 ショーツは穿くだけでいいけど、正しいブラの付け方が分からない。 僕は自分の部屋の端末を立ち上げて、ネットで検索してみることにする。 ちょっと変な感じがしたけど僕はいま女の子だから問題ない。 『ブラの正しいつけかた』っと。 検索欄に打ち込んで、検索実行。 出てきた中で適当なのを選んで実行してみる。 「ストラップを肩にかけてっと・・・・・・」 おずおずと肩にストラップをかける。 それからが四苦八苦した。 女の子ってこんなにめんどくさい事毎日してたのかと実感する。 けれどなんとか説明もあったおかげで、十分ほどでなんとかブラを着ける事に成功した。 両腕を上にあげたり、身体を大きく回転させて着けごこちを確かめる。 「うん、問題ない。 ばっちりだ」 ブラは僕の胸をしっかりと包み込んでいた。 「さて、問題はこっちだよね」 僕の目の前にはメイド服。 僕は覚悟を決めた。 短い白色のふりふりした下着みたいなもの、後でリツコさんに聞いてみたらペチコートって言うらしい、それを着る。 そしてその上からメイド服を着た。 メイド服はワンピースになっていた。 スカート部分がかなり短いけど・・・・・・。 そして肩のラインが危険な程ふりふりなエプロンを着て・・・・・・僕は最後に首輪をつけた。 鏡台の前にたって自分の姿を確かめてみる。 鏡の中にはちょっと困った顔をしてたっているメイドさんが居た。 しかも首輪つき。 「うう・・・・・・僕はずっとこの格好をしないといけないのか・・・・・・」 僕は自分の未来がどうなってしまうのか不安を感じてしまう。 しかし、その不安もリツコさんが帰ってくるまでの事だった。 パタン。 ドアが閉じる音がした。 どうやらソファーに座ったままいつの間にか眠ってしまっていたらしい。 軽く背伸びをして時計を見上げる。 深夜一時半を過ぎた所だった。 廊下を歩く音がして、居間にリツコさんが入ってくる。 「おかえりなさい!」 慌てて立ち上がる僕。 「ただいま。 服着てくれたのね」 僕のメイド服姿を見たリツコさんはとても嬉しそうに微笑んだ。 鞄を置いたリツコさんがゆっくりと僕に近づいてくる。 あっと思ったときには僕はリツコさんの腕に中に居た。 「よく似合ってるわよ蒼花。 いたずらしたくなっちゃうぐらいに」 ふっと耳に息をかけられる。 「そ、そんな事ないです」 リツコさんの腕の中で真っ赤になる僕。 リツコさんはそのまま僕をソファーの上に寝かせると、僕の額にそっとキスをした。 そして優しい愛撫が始まる。 荒くなる息を必死に堪えながら、僕はリツコさんの手に溺れていく。 「あっ・・・・・はぁ・・・・・ご、御主人さま・・・・・・」 「どうしたの? 蒼花?」 「ここじゃ・・・・・・嫌です」 背中のソファーがごわごわして痛かった。 「解ったわ。 私の部屋に行きましょうか」 「はい」 僕を抱きしめたまま、移動するリツコさん。 部屋に入ると、リツコさんが僕をベッドに軽く突き飛ばした。 ぎしっと音を立てて、ベッドに軟着陸する。 「・・・・・・んふっ!」 リツコさんの唇が僕の唇を塞いだ。 僕の口の中に侵入した舌が、歯茎の裏を丁寧に撫でていく。 リツコさんの舌が時折僕の舌を突付く。 僕はおずおずとリツコさんの舌に自分の舌を絡めた。 その途端、僕の舌はリツコさんの舌に激しく蹂躙される。 絡まれ、吸われてはこねられる度に僕の唇から卑猥な音が漏れ出す。 僕の口内を存分に味わった後で、リツコさんの唇がすっと離れていく。 離れた二人の唇の間には銀色の橋が架かっていた。 「美味しい・・・・・・」 手の甲で銀色の橋を拭うリツコさん。 その姿がとても官能的で僕の胸を高鳴らせた。 それからリツコさんは僕を優しく、コワレモノを扱うように攻めた。 全身をくまなく包みこむ淡い感覚に翻弄されながら、僕は必死に飲み込まれまいと リツコさんの服の袖を握り締める。 リツコさんはそんな僕の様子を楽しむかのように、さらに僕を優しく攻めはじめる。 「んふぁ・・・・・んんんああああっっ!」 僕はもう何回目になるのか分からない絶頂に達した。 力なく痙攣する僕の身体をリツコさんが抱きしめる。 「・・・・・・ちゃだめよ」 リツコさんが小さく何かを呟いた。 「え?」 「勝手にいなくなっちゃだめよ」 いつものリツコさんとは違う声色に僕は戸惑う。 「私が帰ってくる頃には、あなたはいないと思ってた」 迷子の子猫のように、僕にしがみつくリツコさん。 「そう・・・・・・なんですか?」 リツコさんの髪にそっと手をあてる。 「ええ、逃げ出したとばかり思ってた」 「そんなこと・・・・・・」 僕の言葉はキスで塞がれた。 リツコさんは服を脱いで全裸になると、焦らすように愛撫を再開していく。 人差し指が鎖骨をなぞり、胸の頂に爪を立てる。 僕の口から嬌声が漏れ始めた。 「あなたは私の物。 だから勝手に消えたりなんかしたら許さない」 そう言うリツコさんの手はいつまでも優しかった。 リツコさんは僕を抱きしめたまま寝ていた。 時々僕の存在を確かめる様に、強く抱きしめてくる。 僕は瞳を閉じてリツコさんの鼓動を感じた。 トクントクンと一定のリズムを取っている心臓。 昔読んだ本の中に、人間の心臓のリズムは打ち寄せる波のリズムと同じだと書いてあった事を思い出す。 人に抱きしめられるという事は、母なる海に抱かれているのと同じなのだろうか? そっとリツコさんの寝顔を覗き込んでみる。 リツコさんの寝顔はとても幸せそうだった。 そういえば、こうやって誰かに抱きしめてもらいながら眠った事ってなかったな・・・・・・。 リツコさんの胸に顔を埋めて、身体をさらに密着させる。 今まで感じたことの無い安心感が僕を包みこんで、心の奥がほんのりと暖かくなる。 僕はずっとここにいますよ、おやすみなさい。 リツコさん。 そっと呟いて瞳を閉じる。 微かに、海の匂いがしたような気がした。 僕が起きるとリツコさんは部屋に置いてあるコーヒーメーカーでコーヒーを作っていた。 カーテンから射し込む光が、シャツ一枚だけの姿でいるリツコさんの身体を浮かび上がらせる。 その姿に僕は見惚れてしまう。 くびれた腰が、光を浴びて艶かしく輝く。 動く度にシャツから見え隠れする胸がとても煽情的で、 僕は思わず目を逸らしてしまった。 「おはよう。 飲む?」 僕が起きた事に気がついたリツコさんが、湯気を上げるマグカップを差し出す。 「はい。 頂きます」 マグカップを受け取ってそっとコーヒーを口にする。 香ばしいコーヒー豆の薫りが、まだ目覚めていない身体に染み渡っていく。 「美味しいです」 僕はほうっとため息をついた。 「特製ブレンドよ。 自慢の一品なの」 艶やかに笑いながらリツコさんが隣に座る。 それからしばらく僕達は無言でコーヒーを飲んだ。 時計をみると七時。 僕は少し考えて、リツコさんの為に朝食を作る事にした。 「ご主人様。 朝食を作りますね」 リツコさんが驚いた顔をする。 「え? あなた作れるの?」 「はい。 出来ますよ」 のろのろと服を着ながら答える。 「ん~でも今日は無理ね」 「なんでですか?」 その言葉に僕は首を傾げた。 リツコさんが僕に申し訳なさそうに告げる。 「冷蔵庫の中が空っぽなのよ・・・・・・」 結局朝食はトーストで終らせる事になった。 リツコさんが仕事に行った後で、僕は軽く部屋の掃除を始めた。 掃除機をかけながら、僕は掃除が終わったら食料の買出しに行こうと考えていた。 掃除を終えて、時計の針を見てみると十一時を指している。 「うん。 そろそろいい時間かな・・・・・・」 掃除機を片付けて、リツコさんが置いていってくれたカードをエプロンのポケットに入れて僕は家を出た。 スーパーはここから十分程歩いた所にあるらしい。 僕はのんびりと歩き始める。 道を歩く僕を行き交う人たちが珍しげに見ていく。 遠くでは女の子達が僕を見てきゃーきゃー騒いでいた。 その・・・・・・なんというか僕のメイド服は抜群に目立っていた。 明らかに浮いてしまっている。 「やっぱり目立っちゃうよねメイド服って・・・・・・」 恥ずかしさを堪えながらスーパーに着いた僕を待っていたのは、さっきとは比べ物に ならない数の好奇の視線だった。 おじさんたちはぎらぎらと目を輝かせ、女の人は歓声を上げて騒ぎ、子供は僕の姿を物珍しげに見つめる。 「恥ずかしいよもう・・・・・・」 僕はその視線を避けるようにしながら、買い物籠を持って店内を回る。 牛乳を二本。 今日のお昼と夜はカレーにしようと思っているので、 たまねぎ、ニンジン、牛肉、じゃがいも、カレーのルーを買い物籠に入れる。 他に野菜や卵などを入れて、僕はレジで清算を済ませて外にでた。 「うー結構買っちゃったな」 両手に買い物袋をぶら下げて僕はふらふらと歩く。 買い物袋がやけに重い。 「やっぱり女の子だからか」 男の時より力が弱くなっているんだなと実感してしまう僕。 腕が痺れて来たので、買い物袋を地面に下ろそうとした途端、 けたたましい警報が街中に鳴り響き始めた。 『緊急警報! 緊急警報をお知らせします・・・・・・』 流れ始めるアナウンス。 それを聞いた僕ははっとある事を思い出す。 そうだった! 今日サキエルが来るんだった! 僕は慌てて買い物袋を持ちなおすと、近くのシェルターに向って走り始めた。 シェルターの中には沢山の人がいた。 シェルターは各区域ごとに一つずつあるらしく、収容人数は五百人程度。 それぞれが緊急避難用通路で繋がっているらしい。 僕は係員に頼んで、備え付けの冷蔵庫に買い物袋を入れてもらうと、壁際の適当に空いてる場所を見つけて座った。 体育座りをしながら天井を見上げる。 もう一人の『碇シンジ』はちゃんとミサトさんに発見されたんだろうか? もしかすると戦闘機の爆発に巻き込まれて大怪我しているかもしれない。 もし、そうなっていたらどうしよう。 ネガティヴな考えばかりが、頭の中を横切っては消えていった。 「あなた、さっきから見えてるわよ!」 突然女の子の声がした。 同時に僕の膝の上に毛布がかけられる。 慌てて顔を上げる僕の前にショートカットの女の子が仁王立ちしていた。 「えっと・・・・・・?」 「もしかして分かんない?」 女の子が呆れる。 僕は少しむっとして女の子を見つめた。 「主語が無いから分かるものも分からないよ」 子供のような僕の言葉に、女の子がため息をつく。 「だから! 下着! パンツがま~~るみえだっていうの!」 「あっ・・・・・・」 女の子の言葉に、僕は慌てて毛布を両手でぎゅっと抱きしめた。 いつの間にか僕から少し離れた所に溜まっていた男の人達が、舌打ちをしながらぞろぞろと去っていく。 「理解してくれた? あいつらにずっとサービスしてたこと?」 僕はこくこくと頷いた。 「気をつけないと駄目だよ」 女の子が僕の隣に座る。 「私の名前は北園晴子。 あなたは?」 「え? い、御堂蒼花」 碇シンジと言おうとして慌てて言い直す。 「ふ~ん」 北園さんが僕の顔を覗き込んでにんまりと笑う。 「今日の下着はピンクか、結構やるわね」 「う~」 僕の顔が赤くなる。 そんなことわざわざ言わなくてもいいじゃないか・・・・・・。 頬を膨らませる僕をみた北園さんが冗談よっと手をひらひらさせる。 「それにしても・・・・・・急に警報だなんて、一体何が起きてるのかしらね」 北園さんがぽつりと言う。 「僕にも何が起きているのかさっぱり・・・・・・」 嘘だ。 僕は知っている。 使徒と呼ばれる生物がここを目指している事を。 「ごめんね、突然声かけて隣に座っちゃって。 迷惑じゃない?」 僕はそんな事ないよと答えて北園さんを見つめた。 良かったと呟いた北園さんが、急に黙り込んでしまう。 彼女のさっきまでの陽気な雰囲気はなくなり、不安そうに周囲を見渡し始める。 さっきから断続的に地響きが起こり、その度に照明が軋みを上げて揺れていた。 シェルター内に居る人々は恐る恐る天井を見上げ、見知らぬ人同士で地上で何が起きているのかを小さな声で話し合う。 この中で不安や恐怖を感じるなというのは無理な話だ。 僕はEVAのパイロットとして地上で戦っていたから分からなかったけど、シェルターにいる人たちは『恐怖』という敵と 戦っている事に僕は気が付いた。 「北園さん、怖いよね」 僕は北園さんの右手を左手で強く握り締めた。 「うん」 北園さんが握り返してくる。 「私、一人でここのシェルターに入っちゃったからとても心細かった。 周りを見渡しても知ってる人はいなかったし・・・・・・。 どうしようかなっと思ったときに御堂さんがいたの。 私と同じで一人で居るように見えたから思わず声をかけたのよ。 まぁずっ と周りの男達にサービスしてたのにはびっくりしたけどね」 「それは言わないでよ」 お互いの顔を見ながら笑いあう。 それから僕達は不安を消し飛ばすようにお互いの事を話し始めた。 内容は好きな異性のタイプやお気に入りの音楽や映画、特技や趣味について。 北園さんは、ジャズが好きで自分でもアルトサックスを演奏しているらしい。 僕もチェロを弾けるよと言うと、今度セッションしてみようかと言われた。 それもいいねと言うと、絶対よと指きりげんまんをさせられた。 「ねえ、私の事晴子って呼んで。 北園さんじゃなんか背中がくすぐったくなる」 「うん、僕も蒼花でいいよ」 僕らはお互いを下の名前で呼び合いながら話を進めていく。 「ねえねえ、私第壱中学校に通ってるんだけど蒼花はどこに通ってるの?」 「僕はまだこっちに来たばかりだから、まだ学校には行ってないんだ」 「ふ~ん。 でもこの辺りに住んでるんだったら同じ学校だろうね」 一緒になれたらいいねっと晴子が微笑む。 僕が黙って頷いたその時だった。 バチンッ! 嫌な音が響いて突然シェルター内の照明が全て消えてしまった。 怯えた晴子が僕の手を両手で握りしめてくる。 ガクンッと足元が揺れたと思った瞬間、激震が僕達を襲った。 怒声と悲鳴がシェルター内に飛び交う。 天井を突き破り、巨大な何かがシェルター内に突き刺さる。 悲鳴をあげて逃げ惑う人々の中、僕はそれを凝視する。 そしてその正体に気がついたとき、僕は叫んでしまった。 「そんな!? 初号機!??」 天井を突き破り、シェルター内に突き刺さったモノ。 それは初号機の左手だった。 初号機の左手はぴくりとも動かず、沈黙したままだった。 「皆さん! 落ち着いて緊急避難用通路から八番シェルターに移動してください!」 係員が大声で指示を出し始めた。 人々の波が緊急避難用通路に流れていく。 「蒼花、私達も行こうよ!」 「駄目! 間に合わない!」 沈黙したままの初号機をサキエルが見逃すはずがない。 もうすぐそこまで来ているはずだ。 初号機を動かさないとここにいる人たち全てが危険に晒されてしまう。 「晴子! 僕の事はいいから早く逃げて!」 「ちょっ! 蒼花!?」 呼び止める晴子を振り切って、僕は初号機に向って走り始めた。 崩れたコンクリートの天井をよじ登り、初号機の左手を伝って地上に出る。 初号機はシェルター上のビルに寄りかかるようにして倒れていた。 半壊したビルを梯子代わりにして、初号機の背中に取り付く。 緊急射出装置のボタンを押してエントリープラグをハーフイジェクトさせる。 開閉ボタンを押してエントリープラグを開けて、僕は中に飛び込んだ。 シュンっと言う音と共に、エントリープラグが元に戻る。 オレンジ色の懐かしい液体と血の匂いが僕に纏わりついてきた。 肺から空気を出してLCLを取り込んで操縦席に向う。 操縦席の上には、黒髪の男の子が気絶していた。 そっと顔を覗き込んでみる。 懐かしい僕の顔がそこにあった。 間違えなく、『碇シンジ』だ。 感動の再会も程ほどに、僕は彼の頭からヘッドセットをもぎ取る。 彼を操縦席から無理やり降ろして、僕は懐かしい操縦席に身を沈める。 ヘッドセットを頭に装着して、僕は操縦桿を握り締めた。 幸いな事に通信機器が壊れていて、発令所の声は全く聞こえなかった。 「問題はこれからか・・・・・・」 初号機は動いてくれるだろうか・・・・・・。 僕は一か八かの賭けにでることにした。 左腕をそっと上にあげるイメージを頭に浮かべる。 ズズッと鈍い音がして、初号機の腕が上がっていく。 「よしっ! 動いた!」 そのままゆっくりと初号機を起き上がらせて、シェルターから離れる。 僕の視界の中に、サキエルの姿が映り込んだ。 躊躇せずウェポンラックを跳ね上げ、プログレッシブナイフを装備する。 「いっけええええええええ!」 サキエルめがけて初号機を思いっきり走らせる。 サキエルが僕に向って片手を突き出した。 光の槍を使うつもりだ。 僕は頭に初号機が上半身を屈めるイメージを浮かべた。 すぐ反応する筈の初号機が一瞬遅れて上半身を屈める。 光の槍が、初号機の装甲を僅かに掠った。 「くっ・・・・・・なんだよこれ」 初号機は、僕のイメージした動きを一テンポ遅らせてトレースしていた。 それどころか、時々僕の意に反した動きをしようとさえする。 「くそ、人生やっぱりそんなに上手くは行かないか」 サキエルに蹴りを喰らわせて距離を取る。 「はぁ・・・・・・はぁ、どうしたものかなこれは」 「んっううん・・・・・・」 操縦席の下から唸り声が聞こえた。 碇シンジの瞳がゆっくりと開いていく。 頭を振りながら起き上がった彼が、操縦席に座る僕を見て絶叫した。 「ええ!? 何!? なんでメイド服を着た綾波がいるの!??」 「うるさい!!」 僕には彼に返事を返す余裕がなかった。 サキエルが容赦なく光の槍を連続で繰り出してきたからだ。 必死に初号機を動かして、それらを全部避ける。 「何!? なんなの一体!??」 戸惑う彼の声に反応するかのように、初号機の動きが一瞬止まった。 その隙を突いて、サキエルの左腕が初号機の右腕を掴み取る。 しまったと思ったときには、僕の腕は潰されていた。 「あああああああああああああああああああああっ!」 激痛に僕は悲鳴をあげる。 「こんちくしょうっ!」 カウンター気味に右膝蹴りをサキエルの胴体に叩き込んで、怯んだ所を前蹴りで吹き飛ばす。 「はあっはあっはあっ」 右腕を押さえながらサキエルを睨みつける。 内部電源は既に1分を切っていた。 「ねえ? 大丈夫?」 「お願いだから黙って!」 僕の怒鳴り声に彼は黙り込んだ。 「うあああああっ!」 襲ってくる光の槍を紙一重で避けて懐に飛び込む。 タックルの要領でサキエルを転ばせて僕はマウントポジションを取った。 拳を思い切り振りおろす。 コアに突き刺さる直前、ATフィールドが展開される。 「甘いんだよおおおおおおお!」 初号機のATフィールドを展開して、サキエルのATフィールドを中和する。 中和されたフィールドを簡単に引き裂きながら、初号機の拳がサキエルのコアに炸裂した。 真っ二つに割れるサキエルのコア。 ぎゅんっとサキエルの身体が変化して、初号機に抱きつこうとする。 予想通りの動き。 僕はサキエルの身体を下からの強烈なアッパーで宙に浮かせた。 そしてそのまま蹴り上げる。 轟音と共に上空で爆発するサキエル。 激震がエントリープラグを襲った。 「うあっ」 碇シンジが悲鳴を上げる。 「くううううぅぅ!」 僕は瞳を閉じて必死に激震に耐えた。 「や・・・・・・やっつけたの?」 激震が止んだと同時に碇シンジが話しかけてくる。 「多分ね・・・・・・もう限界。 変・・・・・・わって・・・・・・」 ヘッドセットを彼に渡そうとした瞬間、僕を激しい眩暈が襲った。 視界がぐらぐらと回り始めて、意識が遠ざかっていく。 彼が必死に僕に何かを訴えているけど、何をいっているのか分からない。 「大丈夫・・・・・・だから・・・・・・」 僕の言葉は気泡とともに、虚しくLCLの中に溶けて弾けた。 『・・・・・・先生、佐伯先生。 至急外科病棟までお戻り下さい』 遠くでアナウンスが聞こえた。 意識が夢から現実に引き戻されていく。 「・・・・・・病院?」 全てが白一色で統一された部屋。 開けられた窓から、生温い風が入り込んでカーテンを揺らしている。 入り込む日差しが眩しかった。 「あら、起きたのね」 傍にいた看護婦さんが、微笑みながら僕の腕をとって脈を測る。 「あの・・・・・・ここは?」 「病院よ」 あまりにも単純な答えが返ってきた。 「まだ顔色が悪いわね。 寝ていなさい」 看護婦さんは僕をベッドに寝かせて、病室から出て行った。 頭に鈍痛が走る。 気分もあまりよく無かった。 身体を少し横にずらして瞳を閉じる。 そうだった・・・・・・確か初号機に乗ったんだよね。 サキエルの姿が頭に浮かぶ。 ぽっかりとサキエルを倒した後の事が、記憶から欠けていた。 シュッと、扉が開く音がした。 誰かが病室に入ってくる気配がする。 薄目をあけると、赤い花が生けてある花瓶を持った『僕』が、つまり『碇シンジ』が入ってきた。 (なんでここにいるんだろう?) 不思議に思う僕の目の前で、彼の身体がぐらりと揺れた。 「あっ!」 という叫び声と共に、彼の手から花瓶が投げ出され、スローモーションで僕に向って飛んでくる。 避ける暇なんて無かった。 花瓶は僕の腰に当たり、生けられた花が散って、零れた水が布団を濡らしていく。 あまりの痛さに何も言えない僕を放置して、彼はおろおろしながら花瓶を棚に置いて花を生けなおす。 僕は腰を押さえながら上半身を起こして、彼を睨みつけた。 「何するんだよ・・・・・・」 僕の怒気を含んだ声に彼が大声で弁解を始める。 「ごめん! わざとじゃないんだよ!」 必死に謝る彼の姿に、怒る気力が削がれる。 「悪いけど、ちょっと部屋から出てくれない?」 零れた花瓶の水が僕の服を濡らしていた。 彼はきょとんとして、僕の顔を見つめた。 やがて僕が言いたいことが分かったのか、彼は慌てて病室を飛び出していく。 彼が出て行った後で扉に鍵をかけて、棚の上、花瓶の横に置いてあった自分の服を取る。 LCLの臭いはしなかった。 クリーニングに出されていたのだろう。 着ている物を脱いで腰を見てみると、青痣が出来ていた。 「うわぁ、これ明日になったらもっと青くなるんだろうな」 軽く青痣に触れてみる。 鈍い痛みが走った。 僕はメイド服に着替えると、ナースコールを押して看護婦さんを呼んだ。 「こりゃまた派手にやっちゃったわね」 濡れているシーツを剥ぎ取って、新しいシーツにてきぱきと取り替えながら 看護婦さんが笑いながら言う。 さっきの看護婦さんとは違う看護婦さんだった。 年は二十歳ぐらいで、長い髪をピンで留めている。 くるくると良く動く瞳が印象的な人だなと僕は思った。 「ごめんなさい」 看護婦さんに向って、碇シンジが泣きそうな顔をして謝る。 「それは私に言う事じゃないでしょ? 彼女にちゃんと謝った?」 看護婦さんが苦笑いしながら彼に言う。 「いいですよ。 僕はもう気にはしてないですから」 僕の言葉にほっとする彼。 「まぁでも責任は取ってもらいますけど」 ぎくっと身体を固める彼が面白かった。 「蒼花、入るわよ・・・・・・って何かあったの?」 病室に入ってきたリツコさんが、シーツを取り替える看護婦さんと悲しそうに佇む碇シンジを見て、怪訝そうな面持ちで僕に聞いてきた。 「彼がいきなり転んで僕の上に花瓶を落としたんですよ」 「・・・・・・なんですって?」 リツコのさんの口調が絶対零度の冷気を帯びる。 碇シンジが、ぶるぶると震えながら後ろに下がる。 恐る恐る顔を上げてリツコさんの顔を見た僕の顔が引き攣った。 ・・・・・・そこには般若が居た。 「シンジ君・・・・・?」 びくりと彼は身体を振るわせた。 「崩壊したシェルターから蒼花を助け出してくれた事には凄く感謝しているわ。 機転を利かせてエントリープラグに蒼花を入れなかったら 彼女がいまどうなっていたのか分からない。 でもねっ!」 リツコさんがぐいっと碇シンジの襟を掴んで引き寄せる。 「この子は私のモノなの! それを傷つけることは万死に値するわ! それに・・・・・・」 襟から手を離したリツコさんがぎりぎりと首を締め上げていく。 彼の顔がどんどん蒼白になっていった。 「あなたのそのドジっぷり、どうにかしなさい! 先の戦闘でもそう! 地上に出たとたん、何もない所で転んで 顔面損傷した挙句に、モニターを含む通信機器全てをおしゃかにするなんて問題外よ!! 別に戦闘で壊れ たなら何も言わないわ私も! けど戦闘外の行動で壊すなんて馬鹿の極致よ!!! あなた技術部全員に喧 嘩売ってるつもり!?? そうよね、そうに決まってる!」 「ちょっ、ご、じゃなかったリツコさん落ち着いて! 死んじゃうよ!」 容赦なく首を絞め続けるリツコさんの手を押さえて、必死に訴える。 ようやく手を離してくれたときには、彼の首には真っ赤な手の跡が残っていた。 むせる彼が少し気の毒になったけど、さっき花瓶をぶつけられたので放っておく。 「それで、怪我はなかったの?」 「はい、大丈夫です」 リツコさんの変わりように少し呆れながら、僕は頷いて答えた。 「そうそう、あなたがエントリープラグ内から彼に抱かれて出てきた時の、赤木博士の慌てぶりは凄かったわよ~」 突然、思い出したようにそう言った看護婦さんが、リツコさんを見てにやりと笑う。 「私救急班だったからその場に居たんだけどね。 あの冷静さがとりえの博士が凄い勢いで取り乱したのよ? 聞いてみたら同居人の子だっていうから仕方がないと思ったけど、あれは今の勢いより凄かったわ・・・・・・」 「え?」 リツコさんを見ると恥ずかしそうに俯いていた。 リツコさんは僕が初号機を動かしていた事を知らないみたいだった。 ああ、そうか・・・・・・モニター類は全部死んじゃってたから、僕が動かしていたとは分からないのか。 でも僕が崩壊したシェルターから救出されたっていうのはどういう事だろう? ふと碇シンジを見ると、彼はぱちりと片目を瞑った。 どうやら彼が嘘の報告をしたらしい。 どうでもいいけどその仕草は我ながら似合わないよと思いながら、僕はリツコさんに頭を下げる。 「心配かけてごめんなさい」 「全く寿命が縮んだわよ」 リツコさんが僕の髪をくしゃくしゃと撫でる。 「まあ、蒼花ちゃんも元気になったみたいだし。 私から先生に言っておくから退院しちゃいなさい」 看護婦さんが笑いながら言った。 「え? でも勝手にそんな事しちゃっていいんですか?」 「ネルフのトップ3がそこにいるでしょ?その人が良いって言ったら問題ない無し!」 凄い理屈をいって親指をびしっと上げながら看護婦さんが笑う。 「ふふ、確かに問題ないわね。 蒼花、退院よ」 それをさらっと実行するリツコさん。 「ははは・・・・・・」 苦笑いをしながら、お互いに怪しく笑いあう二人を見つめる。 二人の隣では、碇シンジが青ざめたまま引き攣った笑いを浮かべていた。 妙に明るい看護婦さんに見送られて、僕達は病室を後にした。 病室を出る際に名前を聞いてみたら、『洞木コダマよ! よろしく!』と握手をしてくれた。 委員長の洞木さんと同じ苗字だから、彼女と何か関係がある人なのかなと思ったけど聞くのはやめた。 僕は中学校に行ってないから、聞いたらリツコさんに変に思われるだけだと思ったからだ。 変と言えば、コダマさんの名前を聞いたときの彼の様子がおかしかった。 はっと口を開けた彼は悲しげに、何か懐かしいモノを見つけた子供の様な瞳でコダマさんを見つめていた。 時折泣きそうな顔をしながら宙に視線を泳がせる。 それはまるで涙を堪えているかのように見えた。 僕はそこで気がついた。 彼は少なくとも僕自身が知っている『僕』では無いという事に。 僕の知らない正体不明の『僕』であり『碇シンジ』がそこにいた。 心の中に言いようのない嫌悪感が生まれる。 それは自然と隣を歩く彼との距離に現れた。 肩と肩の間を二メートル以上きっちり空けながら彼の方を絶対に見ようとしない僕に、 彼がちらりちらりと視線を向けてくるけど、僕は完全無視を決め込んだ。 そんな僕達をリツコさんは怪訝な面持ちで見つめ、途中で合流したミサトさんは首を傾げる。 しばらく歩くと、二手に別れた通路に出た。 「じゃ・・・・・・じゃあ私達はこっちだから! またねん!」 僕達に片手をあげて別れの挨拶したミサトさんが、彼を促がしながらそそくさと左の通路を歩いていく。 彼は複雑な表情をしながら僕を一瞥すると、軽くお辞儀をしてミサトさんの後ろを追いかけていった。 「蒼花? シンジ君あなたに何かしたの?」 「いえ。 何もしてないですよ」 「・・・・・・ならいいけど。 蒼花、悪いけど司令室まで一緒に来て」 「え?」 「司令がお呼びなのよ」 相変わらず無意味に広い部屋だった。 真ん中に机があって、両手を顎の下に組んだ父さんがサングラスを光らせている。 隣に立つ副指令の冬月さんの顔は暗くてよく見えない。 「すまなかったね。 ご足労を煩わして」 冬月さんが僕に向って優しい口調で言った。 いいえと言って僕は軽く頭を横に振る。 「さて、君に伝えなければならない事があるのだよ」 「なんでしょうか?」 「君が今回見た物を、今後一切他言しないようにしてくれないかね?」 「今回見たもの? あのロボット見たいなモノの事ですか?」 僕の言葉に冬月さんが大きく頷く。 「あれ自体とそのコックピット内は国家機密並に重要度が高くてね。 他言されると少し困ったことになる」 そこで言葉を切った冬月さんは、僕の瞳をじっと見つめる。 「・・・・・・よって、他言しない事を確約してくれなかった場合、君を一時拘束。 その後とるべき措置を施 した後で釈放という、我々にとって望まない手段を取らざるを得なくなるのだよ」 ようするに、やんわりと僕に確約しなければ酷い目に合わせるぞと言っている。 別に他人に言うつもりもないので、僕は深く頷いて同意した。 「分かってくれたか、ならばこれで話は終わりだよ」 「待て」 冬月さんの言葉を父さんの声が遮る。 「・・・・・・名前は?」 「御堂蒼花です」 「分かった。 覚えておく」 父さんの言葉に、冬月さんが困惑した顔を浮かべた。 「碇?」 「何でもない」 父さんは黙ったまま僕の顔を見つめていた。 「はぁ・・・・・・かなり心臓に悪かったわ」 司令室を出た後で、リツコさんが溜息をつく。 「あの髭の人、かなり怖かったです」 「そう? 可愛いところもあるのよ、あれでも」 「ちょっと、想像できないかも・・・・・・」 リツコさんの言う可愛い父さんってどういう父さんなんだろうか? 想像しようとして僕は止めた。 駄目だ、精神的被害が大きすぎる。 「私はこれから今日の後始末があるから、ここに残らないといけないの。 たぶん徹夜になるわ」 「分かりました」 「あ、マヤ! ちょっといい?」 廊下を曲がろうとしていたマヤさんを見つけたリツコさんが、マヤさんを呼ぶ。 「あ! せんぱ~い!!」 とたとたとバインダーを抱えたマヤさんが、こちらに向って走ってきた。 「むっ!?」 僕の姿を見たマヤさんが、僕に敵意剥き出しの視線を投げつけてきた。 思わずリツコさんの後ろに隠れて視線を回避する。 「いい所にいたわねマヤ。 この子が私の同居人、御堂蒼花さんよ」 「ええ!? この子がですかぁ!?」 マヤさんがじろじろと僕を舐めるように見つめる。 「は、初めまして」 マヤさんが『へー』とか『ほー』とか言いながら、僕を観察し始める。 「レイちゃんに凄く似てますね」 童顔に可愛い笑顔を浮かべるマヤさん。 でも目が笑っていない。 「良く言われるんですけど、レイって誰なんですか?」 僕は不思議そうに首を傾げながら聞いてみた。 「あなたによく似た子よ」 リツコさんも話をあわせてくれる。 僕らの様子を見たマヤさんの頬が脹れる。 リツコさんはそんなマヤさんの態度など御構い無しに話を進めていく。 「マヤにお願いがあるのよ」 「何ですか! 何なりと言ってください!」 眼をきらきらと輝かせるマヤさん。 「私の家の場所は分かるわよね?」 「はい! もちろんです!!」 「この子を私の家まで送ってあげて」 「ええっ!?」 マヤサンが心底嫌そうな顔をした。 「わ、私今日の後始末がありますから!」 「あなたが数十分抜けても支障は無いわ。 それじゃあ頼んだわよ」 リツコさんはマヤさんを置いてさっさと行ってしまった。 残された僕達の間に嫌な空気が流れる。 「ちっ、しょうがないわね。 先輩の頼みだから送ってあげるわよ」 マヤさんが舌打ちをしながらのしのしと歩き始める。 どうやら僕はマヤさんに嫌われてしまったらしい・・・・・・。 (うわぁ、なんか凄い不機嫌だよどうしよう) 怯えながらマヤさんの後ろについて行く。 僕の心に不安の塊が重く圧し掛かっていた。 (昨日のマヤさんは凄かったな) 熱いシャワーを全身に浴びながら、僕は昨日の事を思い出していた。 車の中では終始無言。 車から降りた僕に『先輩に手をだしたら許さないからね!』と大声で怒鳴ると、 車を急発進させてあっという間に去ってしまった。 なんであんなに嫌われているのか、理由を考えてみたけど分からない。 「今度さりげなく聞いてみよっと」 そう呟いて、僕はシャワーを止めて腰を見た。 青痣が昨日より濃くなっている。 リツコさんに見つかるなと思いながら、バスルームを出て身体を拭いた。 服を着て居間に出た僕は、電話の留守番ランプが点滅しているのに気が付いた。 再生ボタンを押す。 ピーという電子音と共に音声が流れ始めた。 『もしもし? リツコです。 もう寝てると思うから用件だけ言うわ。 明日こっちまで服と下着を持ってきて。 それじゃあ頼んだわよ』 プツッと音がして、再生が終わった。 下着と服って適当に選んだものでいいのかなと思いながら、僕はリツコさんの部屋に行く。 箪笥の一番上を開けて中を覗く。 そこには俗に言う大人の下着が沢山入っていた。 黒や赤や白や紫やら色とりどりで、しかもショーツは全部がきわどいカットで透けている。 もちろんブラも透けていて、着けると胸の先端がくっきり見えてしまうものだった。 顔が紅潮するのを感じながら、やっぱりリツコさんだなと納得して、部屋にあったボストンバッグに下着を数着適当に選んで詰め込む。 それから同じように、箪笥の二段目から服を適当に選んでボストンバッグに詰め込んだ。 膨れたボストンバッグを肩にかけて、リツコさんの部屋を後にする。 それからソファーにボストンバッグを置いて、簡単に朝食を取ってから家を出た。 蝉が狂ったように鳴いていた。 陽炎が坂の上で揺れる。 流れる汗を手の甲で拭いながら、僕はバス停に向かって歩いていた。 バス停はリツコさんのマンションから少し坂を上った所にある。 距離はそう遠くないけれども、この暑さの中を荷物を持って歩くのは結構きつい。 バス停に着く頃には汗だくで、僕はボストンバッグをベンチに置いて木陰に入り暑さを凌いだ。 十分もしないうちにバスが来る。 バスに乗った僕は一番後ろの席の窓際に座った。 車内は冷房が良く効いていて、火照っている身体を冷やしてくれた。 窓の外を見てみる。 作業服を着た人達が走り回って、先の使徒戦の復旧作業を急ピッチで行っていた。 (人間は地震が来ようが使徒が来ようが、生きるための営みを止めない生物なんだね) なんて少し固い事を考えながら、流れていく景色を眺める。 バスがかくんと揺れた。 三十分後、ネルフ本部前に着いた僕はある事に気がついた。 本部内に入る為のIDカードが無い。 「嬢ちゃんどうしたとや?」 ゲート前で立ち往生して困っている僕に、一人のおじさんが話しかけて来た。 おじさんはベージュ色のネルフの制服を着て、赤いベレー帽のような帽子を被っている。 「あの、届け物があって来たんですけど入れなくて・・・・・・」 おじさんの瞳がすっと細くなった。 「嬢ちゃん悪かけどその荷物の中身ば見せてくれんね?」 「えっ?」 おじさんの言葉に僕は戸惑った。 中身が中身なだけにどうしようかと迷う。 「見せられんようなものとや?」 おじさんの瞳は笑っていない。 僕はしぶしぶとボストンバッグを下ろした。 「それじゃ失礼するばい」 チャックを開けたおじさんが中身を確かめていく。 丁寧にボストンバッグの底から小さなポケットを調べていくおじさんを僕は黙って見つめていた。 「御協力ありがとな嬢ちゃん」 ボストンバッグの中を確かめ終えたおじさんが、頭を下げながら言う。 「いえ、大丈夫です」 少し嫌な気持ちになっていたけど、仕事をしてるんだからしょうがないと自分を納得させた。 「ところで嬢ちゃん。 その荷物を誰に届けるとや?」 「赤木博士です」 「分かった。 ちっとついてき」 歩くおじさんの後ろについていく。 おじさんがゲートの横にある詰め所の様な建物に入った。 入ってもいいのかと迷う僕に、おじさんがドアから手を出して『入って来い』と合図する。 中に入ると、ステンレス製の机と中央に置かれた丸テーブルが目に入った。 おじさんは机の前に立ちながら、どこかに電話をしていた。 「はい、はい、はい。 分かりました。 それではそうしときます。 はい、失礼致します」 受話器を置いたおじさんが僕の方を向く。 「赤木博士と連絡が取れたけん、この仮カードば発行しとくばい」 おじさんは、机の中から青色のカードを取り出した。 「ありがとうございます」 僕は頭を下げておじさんにお礼を言った。 おじさんからカードを受け取り、出入り口に向う。 出入り口付近で一旦振り返えり、軽くお辞儀をしてから僕は詰め所を後にした。 ボストンバッグを抱えて歩く僕を見たネルフの職員達が、ぎょっとした目で僕を見る。 それはそうだろう。 綾波レイに瓜二つのメイド服を着た女の子が、ボストンバッグを抱えて歩いているのだから。 周囲の視線を無視して、僕はリツコさんの研究室を目指す。 (うろ覚えだったけど、確かこっちだったよね) そう思いながら、通路の角を左に曲がった時だった。 前から見慣れた顔が二つ、こちらに向かって歩いてくる。 長髪で少し目つきの悪い男と短髪で眼鏡をかけた男。 青葉さんと日向さんだった。 日向さんが僕に気が付いた。 青葉さんも立ち止まり、僕に視線を向ける。 「レイちゃん・・・・・・じゃないよな?」 日向さんが呟いた。 「確か君はこの前の戦闘でシンジ君に助けられた子だよね?」 青葉さんが僕を見つめながら言った。 「はい。 御堂蒼花と言います。 この間はご迷惑をおかけしました」 深々と頭を下げて謝る僕に、二人が慌てる。 「いやいや、そんな」 「こちらこそ怖い目に遭わせてしまってごめんな。 ほら、もう顔を上げて」 そう言って二人は僕の頭を上げさせて、互いに顔を見合わせ苦笑した。 「ところで、御堂君は今日はなんでここに?」 青葉さんが尋ねてくる。 「赤木博士に届け物があって」 僕は肩にぶら下げたボストンバッグに視線を向ける。 なるほどと頷く青葉さん。 「でも何で君が?」 日向さんが不思議そうな顔をする。 「 僕は今赤木博士の家にお世話になっていて、昨日電話があったから・・・・・・」 「ああそうか、君が赤木博士が言っていた同居人なのか」 そうですと僕は日向さんの問いに頷いて答える。 「ここは初めてだろ? 赤木博士の研究室の場所は分かるかい? 良かったら案内するよ」 青葉さんの提案に、日向さんはやれやれと肩を竦めて頭を横に振る。 「お前そう言う趣味なのか?」 「妙な誤解を招く発言はやめろ」 鋭い眼光が日向さんに向けられた。 僕は道案内を青葉さんにお願いする事にした。 道に迷わなくて済むかなと思ったからだ。 日向さんは『残っている仕事があるから』と言って、自分の持ち場に戻ってしまった。 「じゃあ行こうか」 そう言っていきなり歩き始めた青葉さんの後ろを慌てて追いかける。 廊下を何回か右左に曲がりながら進む青葉さん。 後ろ姿を見ながら、僕は青葉さんは優しくて頼りになる人なんだなと感じていた。 「ここだよ」 五分程歩いて、青葉さんが研究室の扉の前で立ち止まった。 「ありがとうございます」 「これぐらいなら全然構わないさ。 それより・・・・・・」 青葉さんは胸ポケットのメモ帳を一枚千切ると、ボールペンで何かを書いて僕に渡した。 受け取って見てみると、小さく電話番号が書かれている。 「それ、俺の電話番号だからよろしく」 じゃあなと片手をあげて青葉さんは去っていった。 渡された物の意味が分からずに、僕はしばらくその場に佇んでいた。 そしてようやくその意味に気がつく。 「もしかしてこれって・・・・・・ナンパされたの?」 僕の呟きは、背後から聞こえた扉の開閉音で消された。 「あら、蒼花? 迎えに行こうかと思ってたんだけどよくここが分かったわね」 僕の姿を見つけたリツコさんが少し驚いたように言う。 「親切な男の人が案内してくれたんです」 「・・・・・・なるほどね。 早く中に入りなさい」 リツコさんが手招きをした。 「御主人様、これが着替えです。 適当に選んできましたけど大丈夫ですか?」 部屋に入った僕はボストンバッグを床に置いてリツコさんに尋ねた。 片手に持っていた資料を机の上に置いて、リツコさんがボストンバッグを開ける。 しばらく中身を漁っていたリツコさんは、盛大に溜息を漏しながら天を仰いだ。 それを見た僕は不安になった。 「何か御気に召さない物が在りましたか?」 思い切って聞いてみる。 「いいえ、その逆よ。 お気に入りの物ばかりで助かったわ」 リツコさんが苦笑しながらボストンバッグのチャックを閉めた。 その言葉にほっとしたのも束の間、いきなりリツコさんが僕の左手首を掴んだ。 そのままぐいっと強く手首を引き寄せられる。 あっと思った時には、僕は既にリツコさんの腕の中にいた。 「ご、御主人様?」 「いいじゃない。 休憩休憩」 リツコさんの右手がゆっくりと僕の右胸を揉み解していく。 ぴくんと身体が震えた。 左手で頤を上に向けられ舌を吸われる。 その甘い感触に僕の身体が段々と熱を帯びていく。 「んふっ・・・・・・」 「あぁ・・・・・」 お互いの唾液が混ざリ合う音が部屋に響いて、荒い息が漏れる。 リツコさんの舌が僕の下唇をすっと撫でた。 ぞくっとする快感が唇に広がり、白衣を握りしめる手に力が入る。 僕の反応を楽しむように、リツコさんが軽く耳朶を齧った。 優しく何回も耳朶を齧られる度に、頭が蕩けそうになる。 「ご、御主人・・・・・・様! 人が・・・・・・来、てしまいますよ?」 僕は弾む息を必死に抑えながらリツコさんに訴える。 「大丈夫よ」 リツコさんは机の上にある端末のキーを叩いた。 金属音がして、扉の中央部に付けられていたランプが緑色から赤色に変わる。 「ちゃんとロックしたわよ?」 リツコさんは僕を自分の膝の上に後ろ向きで座らせて、右手で僕の胸を弄びながら左手をショーツの中に這わせていく。 指が茂みを掻き分けて谷間に浅く侵入すると、ゆっくりと円を描くように動き始めた。 「あぅっ! はぁ!」 「いやらしい声を沢山聞かせて? ほら、もっと腰を動かすのよ!」 秘部に当てられていた指が、ぐっと奥深くに侵入してくる。 僕の秘部は三本の指を飲み込んでいた。 その指の一本一本、全てが違う動きをしながら僕の肉壁を擦り、縦横無尽に暴れまわる。 「あぐっ! あああぁぁあっ!!」 強烈な刺激に、口から涎を垂らしながら僕は激しく腰を揺らした。 「いいわ! いいわよ蒼花!!」 リツコさんの指が容赦なく僕の秘部を責め続ける。 その度にぬちゃぬちゃと淫靡な音が響いた。 「ああぁん! あはうっ!! 」 もう何も考えられなかった。 リツコさんの指技で意識朦朧になりながら、僕は腰を振り続けた。 後もう少しで絶頂に達する、その時だった。 ビィン。 突然の電子音。 リツコさんが指を止めて息をのむ。 扉中央部の、赤色のランプが緑色に変わった。 リツコさんが慌てて僕を机の下に押し込む。 「せんぱ~い! 忘れ物ですよ~!」 満面の笑みを浮かべて入ってきたのはマヤさんだった。 「ええ、ありがとう。 わざわざ持ってきてもらって」 平静を装いながらリツコさんが答える。 「いいえ~。 先輩の為なら火の中水の中ですよ!!」 元気なマヤさんの声がきんきんと部屋を震わせた。 机の下からマヤさんを見上げる。 一瞬目があった様な気がした。 僕は慌てて身体を奥に移動させる。 「それじゃあ、私行きますね! 失礼します!」 マヤさんは、開いた扉の向こうで軽く敬礼して部屋を後にした。 扉が閉まる瞬間、にやりと笑った気がしたのは僕の気のせいだろうか? 「な・・・・・・なんで? ちゃんとロックしたはずよ? それが解除されるなんてありえない」 カタカタと端末のキーを叩く音と、リツコさんの声がする。 どうやらショックの余り、机の下に居る僕の事を忘れているようだった。 ふと前を見ると、形の良いほっそりとしたリツコさんの脚があった。 スカートの奥の赤色の三角まで丸見えになっている。 僕の心にちょっとした悪戯心が湧いた。 僕はそっとリツコさんの内股に手を伸ばす。 「んぁっ!? ちょっ、蒼花?」 内股をさする僕の手にリツコさんが狼狽する。 「御主人様、忘れちゃ嫌です」 「んっ! 分かったから早く出てきなさい」 リツコさんは動き回る僕の手を押さえて、机の下から僕を引っ張りだした。 「まったく困った子ね」 軽く溜息をついたリツコさんが煙草に火をつけて紫煙を吐き出す。 「続きはまた今度よ」 少しがっかりしながら、僕は乱れたメイド服を整える。 ショーツは僕の愛液でびしょびしょに濡れていた。 早く家に帰って着替えたかった。 気持ち悪くて堪らない。 「それじゃあ、家に帰りますね」 「ああ、蒼花。 これを持って行きなさい」 部屋を出ようとした僕を呼び止めると、リツコさんは僕に大きな紙袋を渡した。 「何ですかこれ?」 「制服よ。 中学校の」 「え?」 「明日から中学校に通うのよ。 第壱中学校にね」 「え? ええ?」 「もう手続きは完了してるから。 あと学校の場所は地図が入ってるからそれを見てね」 背中を向けたまま、淡々と告げるリツコさん。 「は、はい分かりました」 なんとか返事を返す。 あまりに急な展開に頭が混乱していた。 第壱中学校という事は、またケンスケやトウジや洞木さん達と一緒になるのだろうか? 紙袋を持って突っ立っている僕にリツコさんが怪訝な顔をする。 「どうしたの?」 「い、いえ。 学校に行けるなんて思っていなかったものですから」 ふっと笑ったリツコさんが、僕の頭をくしゃくしゃと撫でる。 「あなたはまだ義務教育を受けないと行けない年齢だしね」 優しい声に僕の顔が綻ぶ。 「それにね」 くくっと不気味に笑うリツコさん。 「制服プレイって一回やってみたかったのよ!」 その言葉に僕の顔が引き攣った。 『明日の朝一番までには絶対に帰るから!』 と叫ぶリツコさんの姿を思い出しながら、僕は家のドアを開けた。 早速自分の部屋に行って紙袋を開け、箱の中から制服を取り出してみた。 「ブラウス、リボンにベストとスカートって・・・・・・何これ!?」 ブラウス、リボン、ベストには何の問題も無い。 問題は、スカートだ。 どうみても丈が短い。 試しに着てみると、膝上五センチぐらいの長さしかなかった。 「これじゃ座る時とか階段を登る時とか見えちゃうよ・・・・・・」 僕はぶつぶつと文句を言いながらも、残りの制服一式を着る事にした。 ブラウスのボタンを留めて、裾をスカートの中に入れる。 それからリボンを結んでベストを着込んだ。 軽くブラウスの裾を引っ張って皺を伸ばす。 スカートを軽く叩いてから僕は鏡を覗き込んだ。 薄緑色のスカートとベストに、赤色のリボンが映えている。 男だった時には全く気が付かなかったけど、壱中の制服はかなり可愛い。 僕は鏡台の前でくるっと回ってみた。 薄緑色のスカートがふわっと捲れて、際どいラインが見えそうになる。 「リツコさんに丈を元に戻して下さいって頼もうかな」 ・・・・・・無駄な足掻きだと思うけど。 その後、深夜二時過ぎに帰って来たリツコさんに『丈を元に戻してください!』と訴えたけど、 案の定、『駄目』の一言で見事に却下されてしまった。 この時点で、僕の『ミニスカート転校生、壱中デビュー』は確実なものとなってしまう。 「うう・・・・・・勘弁してようぅ」 僕はさめざめと布団の中で泣きながら、瞳を閉じた。 ちなみに眼鏡をかけた旧友が、どこまでも追いかけてきて写真を取り捲るという悪夢に、僕が朝までうなされたのは言うまでもない。 続く 「御主人様~、起きてください朝ですよ」 リツコさんの肩を揺らしながら声をかける僕。 「んん・・・・・・」 軽く唸りながらリツコさんが寝返りを打つ。 素肌にシャツ一枚だけといういつものスタイル。 そのシャツの間から重量感ある胸と白い肌が見えて、僕の視線が釘付けになる。 男の欲情とは違う感情が胸に沸いてきた。 それは女性としての肉体への憧れ。 リツコさんの重量ある胸がうらやましい。 僕は制服の上から自分の胸を触ってみた。 もうしわけない程度のふくらみが、僕の両手にすっぽりと包まれた。 もう一度リツコさんを見て、自分の胸元を見る。 どうやったらこんなに大きくなるんだろう? 少し悲しくなって僕は比べるのをやめた。 最近、僕は自分の精神が女性化してきているなと思う時がある。 心は男でも身体が女性というのが影響しているのだろうか。 感情の起伏が激しくなったし、甘いものを好んで食べるようになっていた。 コンビニでファッション雑誌を読んだりもする。 まあ、僕の場合は私服がメイド服だから、あまり関係ないけど・・・・・・。 もしかすると、リツコさんに色々とHな事をされたことも女性化に原因があるのかな? 唇に人差し指を当て、これまでの事を思い出す。 他人にはとても言えない淫靡な映像が次々と脳裏に浮かんでは消えていく。 思い出していく度に、僕の顔は真っ赤になっていって・・・・・・。 駄目だ! 思い出しちゃ駄目だ!゙ あまりの恥ずかしさに、僕は顔を左右に振って思い出すのを止めた。 「蒼花、あなたさっきから何してるの?」 何時の間にか起きていたリツコさんが、呆れた顔をして僕を見ていた。 「あ、お、おはようございます!」 「ふふ、おはよう」 いきなり僕の手首が掴まれた。 そのまま思いっきり引っ張られて、僕はタオルケットの中に引きずり込まれる。 チェシャ猫の笑みを浮かべたリツコさんの細い指が、制服の上を踊ってリボンを解き、ブラウスの下に入り込む。 「あぁ、ちょっ、制服ですよっ」 這い回る指を、片手でなんとか押さえながら僕はリツコさんに訴えた。 「駄目。 このためにせっかく狸寝入りしてたんだから」 意地悪を言いながら、リツコさんがスカートのホックを外す。 「まさかこんなに早くプレイできるなんて!!」 「あぁん、ちょっ、あうっ!」 「ふふ、逃がさないわよ!」 「いやぁ、あっ、んっ!」 結局、僕は遅刻ぎりぎりの時間になるまで、リツコさんに責められたのだった。 「遅れる~! 遅れる遅れるっ!」 僕はたっぷりとバターを塗ったパンを口に咥えながら、学校に向かって必死に走っていた。 ふわりとスカートがめくれて、下着が見えそうになるけど僕は構わずに全力疾走。 恥ずかしいからって歩いて遅刻するよりはまだましだ。 坂道を一気に駆け下り、曲がり角を通り過ぎようとした時、 右側頭部に強い衝撃と激痛が走った。 何が起きたのか全く分からないまま、地面に尻餅をつく。 目の前に火花が散って、頭の中が真っ白になった。 「いててて・・・・・・」 涙目で、側頭部をさすりながら起き上がろうとしたら、 「ふごほご」 どこからか、不思議な声がした。 どうやら僕の身体の下からその声は聞こえているらしい。 はっと下を向くと、男子生徒が僕の下敷きになっていた。 そして男子生徒顔は、僕の太股に挟まっていて・・・・・・。 「うわぁああぁああぁああ!?」 思わず飛び起きる僕。 「ぷはぁ!!」 っと息を吐いて、男子生徒が頭を上げる。 男子生徒の顔を見た僕の顔が強張った。 ぶつかって来た男子生徒。 それは碇シンジだった。 彼は僕を見て一瞬固まり、そして急にうろたえ始める。 「あの、ごめんね。 怪我は無い? あと、それと・・・・・・」 もごもごと口の中で謝りながら、彼の顔が紅潮していく。 彼の視線がちらちらと僕のスカートに向けられていた。 「その、わざとじゃないんだ」 恥ずかしそうに俯いて言う彼。 その瞬間、ぼんっと僕の頭の中が爆発した。 「サイテー! 馬鹿っ! ヘンタイ! 馬に蹴られて死んでしまえ!」 意味不明な言葉を叫びながら、彼の身体を鞄でしこたま殴りつける。 「痛い! だからわざとじゃないってば!」 鞄の角での容赦ない攻撃に、彼が慌てる。 「もうお前なんか大っ嫌いだ!!」 彼の後頭部に渾身の力を込めた鞄が炸裂する。 「ぶべっ!?」 奇妙な声を上げて彼が沈黙した。 「もういやああああっ!」 僕は屍となった彼を踏みつけ、泣きながら学校に向った。 もちろん、時間内に学校に着くわけもなく。 「お前、転入初日に遅刻とはどういう神経してるんだ?」 髪を紫色に染めた教師らしからぬ先生が、出席簿で隣を歩く僕の頭を軽く叩いた。 「すみません」 頭の中で、碇シンジに呪詛を吐きながら先生に謝る。 この先生の言葉使いはかなり荒らいけど、一応女の人だ。 かなり身長が高くて百七十cmぐらいある。 僕の記憶に無い先生だった。 出撃とか訓練とかであまり学校に行ってなかったから、僕が覚えてないだけかもしれない。 先生の隣を歩きながら僕はそんな事を考えていた。 先生が教室の前で立ち止まった。 僕が転入するクラスに着いたらしい。 「ほら、ここがお前の教室だ」 上を見上げると、2-Cと書かれていた。 先生は『お前は少しここにいろ、呼んだら入れ』と言って教室の中に入っていった。 そして数分後。 先生の『よろこべぇ! 男子!』という声がして、『うおおおおっ!』という雄叫びが湧き起こった。 何が起きたのかまったく分からない僕。 正直かなり怖かった。 「いいぞ! 入って来い!」 「し、失礼します」 先生の声に、恐怖心を押さえてすごすごと扉を開ける。 さっきの熱気とは違う妙な雰囲気が教室を支配していた。 僕は教壇の前に立って、軽く唾を飲み込んだ。

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#5 君がため 惜しからざりし 命さへ…【完全版】5

僕 の 腕 に 噛み 跡 つけ た あと 歌詞

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僕 の 腕 に 噛み 跡 つけ た あと 歌詞

身体が無くなくなるような酷く嫌な感覚。 次の瞬間、激しい衝撃が僕の身体を襲い僕は意識を失った。 (赤い海だ・・・・・・) 気がつくと僕は赤い海の中を漂っていた。 慣れない浮遊感に戸惑いながら僕は周囲を見渡した。 (ここはどこだろう・・・・・・ 僕はLCLの海に溶けてしまったんだろうか? でも身体はちゃんとあるみたいだ) 僕は自分の身体を確かめて・・・・・・固まった。 病的に白い肌と細い手足。 程よい大きさの双丘が身体を動かす度に揺れる。 「えっ!? ちょっと待ってよ!」 僕は下を向いて男性のシンボルを確かめた。 「うそっ・・・・・・」 そこにあるのは蒼色の茂みだけ。 男性のシンボルはどこにもなかった。 (これって・・・・・・もしかして・・・・・・) 身体がかくかくと震える。 (僕は女の子になっちゃったのか!?) 「クスクスクス・・・・・・」 「何!?」 ゆらりと僕の前に影が現れる。 「そんな・・・・・・!?」 海月のように力なく赤い海を漂う影。 それは綾波だった。 顔に空虚な笑みを浮かべたまま、 綾波が僕を見つめる。 「ここはもしかして・・・・・・」 赤い海の中に浮かぶ幾つもの影。 それはかつて、僕が見たことがある光景だった。 そう、ここは確か・・・・・・。 「セントラルドグマにあった水槽?」 僕の目の前に浮かぶ綾波は、僕の問いに答える事も無く 水槽の奥へと流され消えていった。 「とりあえずここからでよう」 僕は水面を目指して泳ぎはじめた。 思ったより身体が重い。 なんとか僕は水面に辿り着くと 水槽の縁についている梯子につかまって身体を休ませた。 ぽたぽたと垂れる液体が気持ち悪い。 僕は水槽のガラスに映った自分の顔をみた。 水槽に映る僕の顔。 それはどう見ても綾波の顔だった。 「これから・・・・・・どうしよう」 梯子に顎を乗せて悩んでいる僕の右足に、こつんと何かが当たった。 「え? うわっ!?」 次の瞬間、僕の右足が強く引っ張られた。 不意をつかれた僕は何もできずに、水中に引きずり込まれていく。 僕を水槽に引きずり込んだのは綾波のスペアの一体だった。 スペアは手を離して僕を解放すると、僕の腰に手を回して身体を摺り寄せてきた。 僕の頬をスペアの両手がやわらかく包み込む。 そしてゆっくりとスペアの唇と僕の唇が重なった。 「んん!?」 いきなりの出来事に僕は混乱した。 一体何!? どういう事!? スペアの舌がゆっくりと僕の口をこじあけて行く。 僕の口内に侵入したスペアの舌は、生き物の様に蠢いて僕の舌と激しく絡まった。 「んはっんっ・・・・ん・・・・・・んんっ!」 あまりに濃厚なキスに、僕の意識が朦朧としてくる。 (な・・・・・・んで?) スペアの左手が僕の胸に添えられて、つんと飛び出した突起物を摘む。 「んあっ!」 甘い刺激が僕の身体を駆け巡った。 「ああっだめ・・・・・・」 余りの快感に僕は腰を引いて逃げようとしたけど、スペアの右腕は僕の腰を しっかりと抱きしめていてどうする事もできなかった。 左手で優しく僕の胸を揉みながら、スペアは人差し指で胸の先端を弾いた。 「んあぁっ!!」 前よりも強い刺激が僕を襲う。 僕は激しく身をよじった。 その隙に僕の腰を抱いていた右腕が外され、右手が僕の股間の茂みに当てられた。 スペアの中指が僕の谷間に浅く侵入する。 「ひゃぁんっ!」 僕は堪らず恥ずかしい声を上げてしまう。 スペアは僕の反応を楽しむように、指を上下にゆっくりと動かしていく。 「ひいいいあぁあっ!? らめっ!」 あまりの快感に僕の身体が激しく痙攣する。 「ひぃぁあぁっ! あんっああっ!!」 頭の中で発生した小さなスパークが僕の理性を徐々に焼いていく。 スペアの腰を強く抱きしめ、僕は押し寄せてくる快感を必死に絶えた。 そんな僕に止めを刺す様に、スペアの中指が僕の陰核を捉える。 「んあっああっ!!!」 極大のスパークが頭の中で炸裂した。 全身の力が抜けて身体がびくんびくんと痙攣する。 頭の中が真っ白になって何も考えることが出来ない。 けれどスペアは僕の事などおかまいなしに、再び中指を陰核にあてる。 そして指の腹で陰核を激しく擦りはじめた。 「ひあぁあっ!!だめぇあっああああっ!」 余韻が残る内に再び陰核をせめられ僕は悲鳴を上げた。 「んっああっ! もう・・・・・・ゆるして!」 僕の言葉を無視してスペアは執拗に僕を責めたてる。 もう何回迎えたか判らない絶頂の衝撃に 僕の意識は吹き飛んでしまった。 『何・・・・・・? どういう事!?』 誰・・・・・・・?人の声が聞こえる・・・・・・。 『なんでレイのスペアに魂が入ってるの!?』 この声・・・・・・リツコさん? 僕はゆっくりと瞳を開けた。 『何・・・・・・? どういう事!?』 誰・・・・・・・?人の声が聞こえる・・・・・・。 『なんでレイのスペアに魂が入ってるの!?』 この声・・・・・・リツコさん? 僕はゆっくりと瞳を開けた。 「うっ・・・・・・」 身体を動かすとじゃらりっと音がした。 「え?」 僕は自分の両腕が鎖で束縛されているのに気がついた。 両腕は上に吊るされていて、付け根の関節がきりきりと痛む。 「気がついたのね」 目の前にリツコさんが立っていた。 リツコさんの表情は険しい。 「率直に聞くわ。 あなた何者?」 リツコさんはゆっくりと白衣の中から拳銃を取り出して、僕に狙いを合わせた。 どうしよう。 なんでこんな事になっているのか僕自身わかってないのに、どう説明したらいいんだろうか? 僕はしばらくどう答えるべきか考えたけど、何も思いつかなかった。 「わ・・・・・・わかりません」 考えに考えて僕の口から出た言葉は、あまりにもお粗末な物だった。 ドン! 「ひっ!」 轟音と共に、頭上の壁に穴が穿たれる。 「わからないって事はないでしょう? スペアにレイ以外の魂が迷い込むことなんてあるはずないんだから」 リツコさんの冷酷な声。 拳銃が少しずつ下にさがっていく。 「次は外さないわよ?」 リツコさんは本気だ。 僕の身体ががくがくと震える。 どうしよう? 何か言わないと撃ち殺されてしまう。 「ぼ・・・・・・ぼくは・・・・・・」 「ぼく?」 「赤い海の畔にいて・・・・・・気がついたらここにいました」 かなり大雑把な説明だけど、これ以上説明のしようがない。 「なるほどね。 本当の事は死んでも言わないって事ね」 リツコさんがゆっくりと僕に近づいてきて、僕の額に銃口を当てる。 「あ・・・・・・ああっ・・・・・・」 恐怖で言葉が出ない。 膝が震えて、目から涙が溢れてきた。 「それじゃさようなら」 僕はぎゅっと目を閉じた。 あれ・・・・・・? 銃で撃たれる衝撃は来なかった。 おそるおそる瞳を開けると、リツコさんは銃を下ろして不気味な笑顔を僕に向けていた。 「殺すよりいい事を思いついた。 あなたを飼う事にするわ」 「えっ・・・・・・?」 「言っておくけど拒否権なんてないわよ? まぁ拒否なんてしたらどうなるか分かってるでしょうけどね」 「はい・・・・・・わかりました」 僕は頷いてリツコさんに飼われる事に同意する。 ここで殺されるよりもましだと思ったからだ。 「さて、私の名前は赤木リツコよ。 あなたの名前は?」 「覚えて・・・・・・ないです」 僕は咄嗟に嘘をついた。 碇シンジと言っても信じて貰えないだろう。 「それじゃあ私が名前を付けてあげる。 あなたの名前は・・・・・・そうね。 ソウカにしましょう」 「ソウカ・・・・・・・?」 「蒼い花と書いて蒼花よ」 リツコさんは僕を飼うにしてはまともな名前を付けてくれた。 「ありがとうございます。 リ、赤木さん」 「違うわ。 私の事はこれからご主人様といいなさい」 「はい・・・・・・ご主人様」 ご主人様と呼ぶ事への抵抗と羞恥心で僕の顔が熱くなる。 リツコさんは満足気に頷くと、鎖を解いて僕を解放してくれた。 「これを着なさい」 リツコさんは僕に白衣を渡してくれた。 「ありがとうございます」 そうだ。 僕素っ裸だったんだ。 僕は急いで白衣を着た。 「あなたの戸籍は私が何とかするわ。 スペアは原因不明の病気により一体処分っと・・・・・・」 リツコさんが小さな端末を弄りながら淡々と言う。 「よし、これでいいわ。 それじゃ行きましょうか」 「どこに行くんですか?」 「私の家よ」 そういえばリツコさんの家に行くのって初めてだよね・・・・・・。 僕は歩き始めたリツコさんの後姿を見ながらそう考えていた。 「うわ・・・・・・凄い」 リツコさんの家は高級マンションだった。 部屋は最上階。 中はかなり大きくて小部屋が五つもある。 僕は居間のソファーに座ってぼーっとしていた。 リツコさんは『そこで待ってなさい』と僕に言って、自分の部屋に行ってしまった。 「蒼花、これに着替えなさい。 私のだけど」 居間に戻ってきたリツコさんが、僕にパジャマを渡す。 「ありがとうございます」 「部屋は一番奥の部屋を使ってね」 「はい、分かりました」 リツコさんは底抜けに優しかった。 「それじゃあまた明日ね」 リツコさんはそう言って自分の部屋に戻っていった。 僕はリツコさんが言っていた一番奥の部屋に行き、扉を開けて中に入った。 部屋に入った途端、パチンという音がして勝手に部屋の照明が点る。 部屋の中には鏡台やクローゼット、そしてベッドが置かれていた。 僕は床にパジャマを置いて白衣を脱いだ。 疲れきった重い身体を動かして、床に置いたパジャマを取る。 のろのろとパジャマに着替えた僕は、白衣を床に脱ぎ捨てたままベッドに身体を沈めた。 そのまましばらく瞳を閉じて、今日起こった出来事を整理する。 サードインパクトが起きて。 気がついたら赤い海が目の前に広がっていて・・・・・・ 隣にアスカが居て・・・・・・あれ? それからどうしたんだっけ? アスカが何かを言った事は覚えてるんだけど、何を言っていたのか思い出せないや。 セントラルドグマの水槽、ダミープラントって言ったかな?そこで目が覚めるまでの記憶がさっぱり抜けてる・・・・・・。 リツコさんが壊したはずの綾波のスペアがあると言う事は・・・・・・過去に戻ってきたって事? 一体何がどうなっているんだろう。 そこまで頭の中で一気に考えた僕は、綾波のスペアに襲われた事を思い出して真っ赤になる。 しかも目覚めてすぐいきなりあんな事をされちゃったし・・・・・・あぁもういい寝る! 頬の火照りを隠すように僕は枕に顔を埋め、夢の世界に飛び込んだ。 次の日の朝。 僕が起きて居間に行くと、既にリツコさんはテーブルに座ってコーヒーを飲んでいた。 「おはようございます」 「おはよう」 リツコさんは僕に挨拶を返して、新聞紙を読み始めた。 洗面所の場所を教えてもらって、顔を洗いに向かう。 「ちょっと待って。 ・・・・・・はい、これ」 呼び止められた僕は、リツコさんからコンタクトケースとブラウンのカラーリング材を受け取った。 「このコンタクトレンズをつけて、髪も染めてきて頂戴」 「はい、分かりました」 なんでだろう? 僕はそう思いながら、再び洗面所に向かった。 洗面所に着いて顔を洗い、僕は鏡の中の自分をまじまじと見つめた。 鏡には、ぽたぽたと垂れる雫をそのままにしてきょとんとしている綾波の顔が映っている。 やっぱり慣れないよこれって・・・・・・。 僕はため息をついてタオルで顔を拭くと、コンタクトケースからレンズを取り出した。 レンズはカラーレンズで色はブラック。 初めてのコンタクトレンズの装着に戸惑ったものの、何とか装着する事に成功した。 鏡を覗いてみると、僕の瞳の色は赤色から黒色になっていた。 続けて髪染めに取り掛かる。 専属の櫛にムース状の染料液を乗せて髪を梳かしていく。 髪全体に塗ってから十分程置くと、蒼銀の髪が綺麗な栗色に変わっていた。 上手に染まっている事を確かめてから、シャワーで染料液を洗い流してドライヤーで髪を乾かしていく。 少し髪に湿り気を残す程度でドライヤーを切ってから、軽く頭を振った。 それから髪を軽くブラッシングして、空のカラーリング材の容器を洗面所の下にあるゴミ箱に入れて コンタクトケースを左手に持ち、僕は居間に向かった。 「あら、上手に染めることができたのね」 居間に戻ってきた僕を見てリツコさんが微笑んだ。 「はい、なんとか上手に出来ました」 僕は少し照れながら、リツコさんに微笑みを返した。 「蒼花、昨日の内にネットであなたの服と下着を買って置いたから。 たぶん昼過ぎに届くと思うからそれを着なさい」 「いつの間に・・・・・・ありがとうございます」 「必ず着るのよ」 リツコさんがにやりと笑った。 僕の背筋に悪寒が走る。 身の危険を感じて僕はこくこくと頷いた。 「あとあなたの戸籍の事だけど、あなたは孤児で苗字は御堂。 両親はセカンドインパクト時に死亡し十四歳まで施設暮らし。 十五歳の誕生日迄に孤児院を出て行く決まりがある為、ご両親にお世話になった私が引き取ったという事にしてあるわ」 「は・・・・・・はぁ」 「貴方の誕生日は三月三日。 桃の節句よ。 さあここまでで何か質問はある?」 「あ、あの・・・・・・僕は御主人様に飼われるんですよね?」 「そうよ」 「あの・・・・・・どうしてここまでしてくれるんですか?」 ふっと沸いた疑問を思い切ってリツコさんに聞いてみる。 「私はペットをとことん可愛がる趣味なのよ」 あっさりと言葉を返すリツコさん。 「何か問題でもある?」 無言になってしまった僕をリツコさんはじろりと睨みつけた。 「いえ、ないです」 ぶんぶんと首を横に振る。 「そう、それじゃ私は仕事に行くから。 大人しくしているのよ」 リツコさんが肩掛けの鞄を持って玄関に向かう。 「行ってくるわ」 「行ってらっしゃい」 玄関でリツコさんを見送った後、僕は居間に戻ってソファーに座った。 今日ってそういえば西暦何年の何月何日なんだろう。 テーブルの上に置かれたままの新聞紙を広げてみる。 新聞紙の日付は西暦二千十五年五月四日と書いてあった。 確か僕が第二新東京市からこっちに向かったのが五月五日だったから・・・・・・ 「えっ!? それじゃあ明日第三使徒が来ちゃうってこと!?」 僕は慌てた。 リツコさんに『明日第三使徒がここに来ますよ』って言っても信じて貰えないだろう。 ならばどうするかと考え込んだ所で僕は一つの事実に気がついた。 それは僕が今『碇シンジ』ではない、という事実。 僕は『御堂蒼花』であって『碇シンジ』じゃないし、『チルドレン』でもない。 という事は、僕はこの世界にいるはずの、もう一人の『碇シンジ』に全てを任せておけばいいのだ。 「なんだよ・・・・・・心配して損しちゃった」 ほっと気を抜いた瞬間僕のお腹がなった。 朝ごはんを食べて無かった事を思い出して、食パンをトースターに入れる。 五分後、こんがりと焼けあがったパンにバターを塗って、もぐもぐと食べながら、僕はこれからどうするかを考えた。 こんな格好で外にでる事なんて出来ないし、いつここに届くか分からないから外出は却下。 それじゃあゲームでもしようかなと思ってテレビゲームの類を捜してみたけど一切ない。 よってゲームで暇を潰すのも無理。 となると僕が出来る事は唯一つ。 「二度寝でもしよっと」 僕はソファーで眠りながら服が届くのを待つことにした。 ピンポーン。 うるさいな。 誰だよ。 ピンポンピンポンー。 容赦なく鳴り響くブザー音が僕を眠りから覚ます。 起きて時計を見ると一時。 時間的に見ておそらく宅配便が来たのだろう。 「は~い」 ぺたぺたと音を立てて、僕は玄関に向かう。 「こんにちわ。 宅配便でーす」 思ったとおり宅配便だった。 一応覗き窓で宅配員を確かめてからドアを開ける。 「あ、すみまへっ・・・・・・!?」 ドアを開けた僕を見て、宅配員のおじさんの声が裏返る。 「あ、あのすみません。 こ、ここにサインお願いします!」 顔を横に向けたままボールペンを差し出すおじさん。 僕は差し出されたボールペンを受け取っておじさんの顔を見つめた。 顔が真っ赤だ。 しかも息が荒い。 風邪でも引いたのかな、と思いながら下を向いてサインをする。 おじさんの喉がごくっと鳴った。 「身体の調子でも悪いんですか?」 僕の質問におじさんはびくっと身体を震わせた。 「い・・・・・・いやなんでもないよ」 「そうですか? それならいいんですけど」 僕はサインを書き終えて、ペンを返そうと顔を上げた。 どさっという音がして地面に荷物が落とされる。 次の瞬間、僕はおじさんに抱きしめられていた。 タバコの臭いが僕の鼻を擽る。 僕が逃れようと身じろぎすると、おじさんはさらに強く僕を抱きしめる。 悲鳴をあげようとした僕の口をおじさんの手が塞いだ。 必死に暴れる僕を片腕で抱えてドアに押し入り、おじさんが家の中に入ってくる。 家の中に入ったおじさんは、後ろ手でドアの鍵を閉めると僕を床に叩きつけた。 「ぎゃんっ!」 後頭部がもろに床に当たる。 その途端、カクンっと僕の力が抜けた。 身体に力が入らない。 「へへ、お前が、お前が悪いんだぞ。 そんな格好しやがって、誘ってんだろうが!?」 僕のパジャマが引きちぎられて、胸が外気にさらされる。 身体を丸めて胸を隠そうとする僕におじさんが圧し掛かってきた。 「来るな!」 おじさんに蹴りを放つけど、やすやすと足首を取られてしまう。 「意気の良いお嬢さんだ」 下品な笑いを浮かべながら、おじさんの手が僕の胸を触る。 「んっ・・・・・・!?」 ぞくっと僕の背中に快感が走る。 そんな、僕襲われてるのに感じてるの!? 「はん、ぁあぅ・・・・・・」 もう片方の手が僕の茂みに軽く爪を立てる。 なんとも言えない快感に僕は戸惑う。 「へっへへ・・・・・・もう我慢できねーよ」 おじさんがチャックを降ろす音が聞こえた。 「いやだっ! やめてよ!」 「うるせぇ!」 おじさんが左手を振り上げ、僕を殴ろうとして・・・・・・動きを止めた。 その後頭部には鈍く光る拳銃。 いつの間にか、おじさんの背後にリツコさんが居た。 「全く忘れ物をして取りに帰ってきてみたら・・・・・・あなた、私のペットに何をしてるのかしら?」 氷の冷笑を浮かべたリツコさんがおじさんに問う。 「え、いや、その・・・・・・」 おじさんは冷や汗をだらだらとたらしながら意味不明な言葉を口走る。 「さっさと股間の汚いモノをしまって出て行きなさい!」 「ひいいっ!?」 おじさんは一目散に部屋を飛び出て、エレベーターホールに消えていった。 ほっとして放心状態になる僕に、リツコさんが近寄る。 「あ、御主人さまありがとうございま・・・・・・」 僕の言葉は続かなかった。 リツコさんが平手うちで思いっきり僕を殴ったからだ。 「あなた、なんで勝手に私に黙って男を部屋に連れ込んでるのかしら?」 「え・・・・・・?」 リツコさんの言葉の意味が分からなくて、僕の頭は混乱した。 連れ込んだってどういう事? 僕襲われてたんだよ? 「ち、違います! 僕連れ込んだりしていません!」 リツコさんがまた手を振り上げる。 次の瞬間僕の頭に閃光が走った。 「ちゃっかり鍵までかけてそういう事を言うわけ!」 「違います!」 また閃光が走る。 僕は堪らず床に倒れ込んだ。 肩を上下に揺らしてリツコさんが僕を睨み付ける。 「いい加減認めなさい。 私は実は淫乱なペットですって」 「違います! 僕は淫乱なんかじゃないです!」 僕は激しく首を振って否定する。 リツコさんはそんな僕を嘲笑うかのように口を歪めた。 「あなた、私が知らないと思ってる? ダミープラントでの事」 「えっ?」 「あなたの痴態はしっかりとMAGIに録画されているわ。 まぁ私だけしか見れない極秘ファイルに保存されているけど」 「ああ・・・・・・」 「私が見つけた時のあなたときたら・・・・・・口から嫌らしく涎を垂らしたまま身体を痙攣させて気絶していたのよ? 一体どうしてかしらね?」 「あ・・・・・・あう・・・・・あ」 「認めてしまった方が楽よ。 『私は実は淫乱なペットなんです』ってね」 「ち・・・・・・ちがいま・・・・・・」 「まだいうの!」 「あうっ!」 リツコさんの指が、僕のズボンの上から谷間に侵入する。 そこは・・・・・・身体の奥から湧き出す蜜で溢れそうになっていた。 「こんなになってるじゃないのよ。 これでも認めないわけ?」 ぐりぐりと指が恥肉の周囲を弄ぶ。 リツコさんの目は据わっていた。 「・・・・・・です」 「聞こえないわよ?」 「そうです! 僕は実は淫乱なペットなんです!」 僕の瞳から涙がこぼれる。 恥ずかしさの余り身体中が紅潮する。 「そうよ、はじめからそう言えば可愛がってあげたのに」 「ひっ!? あぅぅあっ、あっ!」 リツコさんの指が容赦なく僕の谷間に侵入して中を掻きまわす。 あまりの快感に僕は悲鳴をあげる。 「ほら! いくんでしょ!? いっちゃいなさいよ!」 耳元で囁かれる甘い誘惑。 息が当たるたびに、僕の背中がびくんと動く。 「あぁああああっ!あっ!あああああああっ!」 リツコさんの指が僕の中で暴れる。 軽く壁を擦りながら、何かを探すように動き回る指。 そして指が僕のある一点を捉える。 脳が弾けそうな今までに無い快感が僕を襲った。 「くぁあぁあああ・・・・・・」 唇を噛み締めてなんとか快感に耐える。 「ふふ、ここがあなたのスポットね」 ぐりぐりと指を動かしてその一点を攻めるリツコさん。 「うっ・・・・・あがっ! あああっ! ひぃあああああああ!」 親指が僕の陰核に当てられて、中に入ってる指と共に僕を攻め始める。 「もう! もうだめです! 許してくださいご主人様!」 「まだ駄目よ」 「そんな!」 リツコさんの冷酷な言葉に僕は思わず声を上げて泣き始めてしまう。 「うあああぁああん! ごめんなさい! ごめんなさい! ご主人様! もういかせて下さい!」 「ふふ・・・・・・本当に可愛い子」 リツコさんの舌が僕の頬を伝う涙を舐める。 それだけで達しそうになってしまう。 「さあ、いきなさい」 リツコさんが僕の耳朶を軽く齧った。 その瞬間、僕の身体の奥で熱いものが弾けて脳髄を焦がしていく。 やがてそれは全体に広がっていき・・・・・・ 「あああっ!? ふああぁあああああっ!!」 四肢を痙攣させ、快感に振るえて僕は絶頂に達した。 「はぁ・・・・・うっ・・・・・ううん・・・・・・」 断続的に痙攣して絶頂の余韻を味わう僕。 「耳朶を齧っただけでいっちゃったのね」 僕は絶頂の余韻で意識が朦朧として答える事ができない。 「あなたは私の可愛い『淫乱な』ペットなのよ。 解ったかしら?」 「・・・・・・は・・・・・・い・・・・・・」 それだけなんとか答えるだけで精一杯だった。 僕は未だに引かない快感の波に翻弄され・・・・・・そして意識を手放した。 僕は闇の中を漂っていた。 ああ、僕、リツコさんにいかされちゃったんだ。 僕って本当に淫乱な奴だよね・・・・・・。 自嘲しながら僕は闇を見つめた。 光一つ無い闇の中に、ぽうっと燐光が湧いて、蒼銀の髪を持つ少女と紅の髪を持つ少女が浮かび上がる。 それは僕にとって懐かしい人。 綾波とアスカだった。 『そうよ。 碇君は淫乱なの。 私の胸を触って興奮していたもの』 綾波が淡々と言い、 『はん! 今頃気がついたの!? 意識の無いあたしにあんたが何をしたのかよく考えて見なさいよ!』 アスカが腰に手を当てたまま、烈火のような勢いで僕に言う。 「うん。 僕は淫乱なんだよ綾波、アスカ。 そしてリツコさんのペットなんだ」 僕はそう言って二人を見つめる。 二人は微笑むと、僕をそっと抱きしめてくれた。 『自分を認めたのね。 それはとても大事なこと』 『さあ、もどりましょう。 光のある世界へ』 二人の姿が弾けて、蒼色と紅色の光球に変わる。 そして強烈な閃光を放ち、僕はその光に包まれていった。 「う・・・・・・ううん・・・・・・」 気がつくと、僕は自分の部屋でベッドに寝かされていた。 「夢・・・・・・か」 毛布を退けて、起き上がる僕の枕元でカサリと言う音がする。 僕の枕元に一枚のメモ用紙があった。 『蒼花へ。 今から仕事場に戻るわ。 服はあなたのベッドに下に置いてあるから。 またあんな事したら次は無いわよ。 あと服! ちゃんと着なさいよ! 着なかったらお仕置きよ!』 「お仕置きってリツコさん・・・・・・酷いや」 気だるい身体を動かして、ベッドから降りる。 パジャマは新しい物に変えられていた。 少しの不安と期待を持って、ベッドの下に置いてあるダンボールを開けてみる。 「えっ!? これって・・・・・・」 僕の目に飛び込んできたのはキワドイカットのショーツと可愛いブラ。 そして、どうみてもこれはやりすぎとばかり短い、紺色をしたミニスカートのメイド服と純白のエプロンだった。 「こ・・・・・・これを着ないといけないの!? 他のはないの!!?」 僕はダンボールからどんどん服を取り出していく。 中に入っている服はすべてメイド服で、ブラとショーツも同じようなモノしかない。 「ってええ!? こ、これもなのお!!?」 一番下から出てきたもの。 それは首輪。 ネームプレートには『 Midou. Souka for Rituko 』と刻まれていた。 「ははは、あはは・・・・・・」 さてここで問題です。 あなたは究極の二択に立たされてしまいました! 一:全て着ない、完全無視! 二:お仕置きという名の改造を受ける! さあ~時間は三十秒です!チッチッ・・・・・・。 「ううう・・・・・・着るしかないよね。 お仕置きは嫌だし・・・・・・」 僕はほんの二秒で一を選択する。 だってお仕置きが本当に怖いんだもん。 のろのろと着替えを始めた僕は、はっとある事に気がついた。 ショーツは穿くだけでいいけど、正しいブラの付け方が分からない。 僕は自分の部屋の端末を立ち上げて、ネットで検索してみることにする。 ちょっと変な感じがしたけど僕はいま女の子だから問題ない。 『ブラの正しいつけかた』っと。 検索欄に打ち込んで、検索実行。 出てきた中で適当なのを選んで実行してみる。 「ストラップを肩にかけてっと・・・・・・」 おずおずと肩にストラップをかける。 それからが四苦八苦した。 女の子ってこんなにめんどくさい事毎日してたのかと実感する。 けれどなんとか説明もあったおかげで、十分ほどでなんとかブラを着ける事に成功した。 両腕を上にあげたり、身体を大きく回転させて着けごこちを確かめる。 「うん、問題ない。 ばっちりだ」 ブラは僕の胸をしっかりと包み込んでいた。 「さて、問題はこっちだよね」 僕の目の前にはメイド服。 僕は覚悟を決めた。 短い白色のふりふりした下着みたいなもの、後でリツコさんに聞いてみたらペチコートって言うらしい、それを着る。 そしてその上からメイド服を着た。 メイド服はワンピースになっていた。 スカート部分がかなり短いけど・・・・・・。 そして肩のラインが危険な程ふりふりなエプロンを着て・・・・・・僕は最後に首輪をつけた。 鏡台の前にたって自分の姿を確かめてみる。 鏡の中にはちょっと困った顔をしてたっているメイドさんが居た。 しかも首輪つき。 「うう・・・・・・僕はずっとこの格好をしないといけないのか・・・・・・」 僕は自分の未来がどうなってしまうのか不安を感じてしまう。 しかし、その不安もリツコさんが帰ってくるまでの事だった。 パタン。 ドアが閉じる音がした。 どうやらソファーに座ったままいつの間にか眠ってしまっていたらしい。 軽く背伸びをして時計を見上げる。 深夜一時半を過ぎた所だった。 廊下を歩く音がして、居間にリツコさんが入ってくる。 「おかえりなさい!」 慌てて立ち上がる僕。 「ただいま。 服着てくれたのね」 僕のメイド服姿を見たリツコさんはとても嬉しそうに微笑んだ。 鞄を置いたリツコさんがゆっくりと僕に近づいてくる。 あっと思ったときには僕はリツコさんの腕に中に居た。 「よく似合ってるわよ蒼花。 いたずらしたくなっちゃうぐらいに」 ふっと耳に息をかけられる。 「そ、そんな事ないです」 リツコさんの腕の中で真っ赤になる僕。 リツコさんはそのまま僕をソファーの上に寝かせると、僕の額にそっとキスをした。 そして優しい愛撫が始まる。 荒くなる息を必死に堪えながら、僕はリツコさんの手に溺れていく。 「あっ・・・・・はぁ・・・・・ご、御主人さま・・・・・・」 「どうしたの? 蒼花?」 「ここじゃ・・・・・・嫌です」 背中のソファーがごわごわして痛かった。 「解ったわ。 私の部屋に行きましょうか」 「はい」 僕を抱きしめたまま、移動するリツコさん。 部屋に入ると、リツコさんが僕をベッドに軽く突き飛ばした。 ぎしっと音を立てて、ベッドに軟着陸する。 「・・・・・・んふっ!」 リツコさんの唇が僕の唇を塞いだ。 僕の口の中に侵入した舌が、歯茎の裏を丁寧に撫でていく。 リツコさんの舌が時折僕の舌を突付く。 僕はおずおずとリツコさんの舌に自分の舌を絡めた。 その途端、僕の舌はリツコさんの舌に激しく蹂躙される。 絡まれ、吸われてはこねられる度に僕の唇から卑猥な音が漏れ出す。 僕の口内を存分に味わった後で、リツコさんの唇がすっと離れていく。 離れた二人の唇の間には銀色の橋が架かっていた。 「美味しい・・・・・・」 手の甲で銀色の橋を拭うリツコさん。 その姿がとても官能的で僕の胸を高鳴らせた。 それからリツコさんは僕を優しく、コワレモノを扱うように攻めた。 全身をくまなく包みこむ淡い感覚に翻弄されながら、僕は必死に飲み込まれまいと リツコさんの服の袖を握り締める。 リツコさんはそんな僕の様子を楽しむかのように、さらに僕を優しく攻めはじめる。 「んふぁ・・・・・んんんああああっっ!」 僕はもう何回目になるのか分からない絶頂に達した。 力なく痙攣する僕の身体をリツコさんが抱きしめる。 「・・・・・・ちゃだめよ」 リツコさんが小さく何かを呟いた。 「え?」 「勝手にいなくなっちゃだめよ」 いつものリツコさんとは違う声色に僕は戸惑う。 「私が帰ってくる頃には、あなたはいないと思ってた」 迷子の子猫のように、僕にしがみつくリツコさん。 「そう・・・・・・なんですか?」 リツコさんの髪にそっと手をあてる。 「ええ、逃げ出したとばかり思ってた」 「そんなこと・・・・・・」 僕の言葉はキスで塞がれた。 リツコさんは服を脱いで全裸になると、焦らすように愛撫を再開していく。 人差し指が鎖骨をなぞり、胸の頂に爪を立てる。 僕の口から嬌声が漏れ始めた。 「あなたは私の物。 だから勝手に消えたりなんかしたら許さない」 そう言うリツコさんの手はいつまでも優しかった。 リツコさんは僕を抱きしめたまま寝ていた。 時々僕の存在を確かめる様に、強く抱きしめてくる。 僕は瞳を閉じてリツコさんの鼓動を感じた。 トクントクンと一定のリズムを取っている心臓。 昔読んだ本の中に、人間の心臓のリズムは打ち寄せる波のリズムと同じだと書いてあった事を思い出す。 人に抱きしめられるという事は、母なる海に抱かれているのと同じなのだろうか? そっとリツコさんの寝顔を覗き込んでみる。 リツコさんの寝顔はとても幸せそうだった。 そういえば、こうやって誰かに抱きしめてもらいながら眠った事ってなかったな・・・・・・。 リツコさんの胸に顔を埋めて、身体をさらに密着させる。 今まで感じたことの無い安心感が僕を包みこんで、心の奥がほんのりと暖かくなる。 僕はずっとここにいますよ、おやすみなさい。 リツコさん。 そっと呟いて瞳を閉じる。 微かに、海の匂いがしたような気がした。 僕が起きるとリツコさんは部屋に置いてあるコーヒーメーカーでコーヒーを作っていた。 カーテンから射し込む光が、シャツ一枚だけの姿でいるリツコさんの身体を浮かび上がらせる。 その姿に僕は見惚れてしまう。 くびれた腰が、光を浴びて艶かしく輝く。 動く度にシャツから見え隠れする胸がとても煽情的で、 僕は思わず目を逸らしてしまった。 「おはよう。 飲む?」 僕が起きた事に気がついたリツコさんが、湯気を上げるマグカップを差し出す。 「はい。 頂きます」 マグカップを受け取ってそっとコーヒーを口にする。 香ばしいコーヒー豆の薫りが、まだ目覚めていない身体に染み渡っていく。 「美味しいです」 僕はほうっとため息をついた。 「特製ブレンドよ。 自慢の一品なの」 艶やかに笑いながらリツコさんが隣に座る。 それからしばらく僕達は無言でコーヒーを飲んだ。 時計をみると七時。 僕は少し考えて、リツコさんの為に朝食を作る事にした。 「ご主人様。 朝食を作りますね」 リツコさんが驚いた顔をする。 「え? あなた作れるの?」 「はい。 出来ますよ」 のろのろと服を着ながら答える。 「ん~でも今日は無理ね」 「なんでですか?」 その言葉に僕は首を傾げた。 リツコさんが僕に申し訳なさそうに告げる。 「冷蔵庫の中が空っぽなのよ・・・・・・」 結局朝食はトーストで終らせる事になった。 リツコさんが仕事に行った後で、僕は軽く部屋の掃除を始めた。 掃除機をかけながら、僕は掃除が終わったら食料の買出しに行こうと考えていた。 掃除を終えて、時計の針を見てみると十一時を指している。 「うん。 そろそろいい時間かな・・・・・・」 掃除機を片付けて、リツコさんが置いていってくれたカードをエプロンのポケットに入れて僕は家を出た。 スーパーはここから十分程歩いた所にあるらしい。 僕はのんびりと歩き始める。 道を歩く僕を行き交う人たちが珍しげに見ていく。 遠くでは女の子達が僕を見てきゃーきゃー騒いでいた。 その・・・・・・なんというか僕のメイド服は抜群に目立っていた。 明らかに浮いてしまっている。 「やっぱり目立っちゃうよねメイド服って・・・・・・」 恥ずかしさを堪えながらスーパーに着いた僕を待っていたのは、さっきとは比べ物に ならない数の好奇の視線だった。 おじさんたちはぎらぎらと目を輝かせ、女の人は歓声を上げて騒ぎ、子供は僕の姿を物珍しげに見つめる。 「恥ずかしいよもう・・・・・・」 僕はその視線を避けるようにしながら、買い物籠を持って店内を回る。 牛乳を二本。 今日のお昼と夜はカレーにしようと思っているので、 たまねぎ、ニンジン、牛肉、じゃがいも、カレーのルーを買い物籠に入れる。 他に野菜や卵などを入れて、僕はレジで清算を済ませて外にでた。 「うー結構買っちゃったな」 両手に買い物袋をぶら下げて僕はふらふらと歩く。 買い物袋がやけに重い。 「やっぱり女の子だからか」 男の時より力が弱くなっているんだなと実感してしまう僕。 腕が痺れて来たので、買い物袋を地面に下ろそうとした途端、 けたたましい警報が街中に鳴り響き始めた。 『緊急警報! 緊急警報をお知らせします・・・・・・』 流れ始めるアナウンス。 それを聞いた僕ははっとある事を思い出す。 そうだった! 今日サキエルが来るんだった! 僕は慌てて買い物袋を持ちなおすと、近くのシェルターに向って走り始めた。 シェルターの中には沢山の人がいた。 シェルターは各区域ごとに一つずつあるらしく、収容人数は五百人程度。 それぞれが緊急避難用通路で繋がっているらしい。 僕は係員に頼んで、備え付けの冷蔵庫に買い物袋を入れてもらうと、壁際の適当に空いてる場所を見つけて座った。 体育座りをしながら天井を見上げる。 もう一人の『碇シンジ』はちゃんとミサトさんに発見されたんだろうか? もしかすると戦闘機の爆発に巻き込まれて大怪我しているかもしれない。 もし、そうなっていたらどうしよう。 ネガティヴな考えばかりが、頭の中を横切っては消えていった。 「あなた、さっきから見えてるわよ!」 突然女の子の声がした。 同時に僕の膝の上に毛布がかけられる。 慌てて顔を上げる僕の前にショートカットの女の子が仁王立ちしていた。 「えっと・・・・・・?」 「もしかして分かんない?」 女の子が呆れる。 僕は少しむっとして女の子を見つめた。 「主語が無いから分かるものも分からないよ」 子供のような僕の言葉に、女の子がため息をつく。 「だから! 下着! パンツがま~~るみえだっていうの!」 「あっ・・・・・・」 女の子の言葉に、僕は慌てて毛布を両手でぎゅっと抱きしめた。 いつの間にか僕から少し離れた所に溜まっていた男の人達が、舌打ちをしながらぞろぞろと去っていく。 「理解してくれた? あいつらにずっとサービスしてたこと?」 僕はこくこくと頷いた。 「気をつけないと駄目だよ」 女の子が僕の隣に座る。 「私の名前は北園晴子。 あなたは?」 「え? い、御堂蒼花」 碇シンジと言おうとして慌てて言い直す。 「ふ~ん」 北園さんが僕の顔を覗き込んでにんまりと笑う。 「今日の下着はピンクか、結構やるわね」 「う~」 僕の顔が赤くなる。 そんなことわざわざ言わなくてもいいじゃないか・・・・・・。 頬を膨らませる僕をみた北園さんが冗談よっと手をひらひらさせる。 「それにしても・・・・・・急に警報だなんて、一体何が起きてるのかしらね」 北園さんがぽつりと言う。 「僕にも何が起きているのかさっぱり・・・・・・」 嘘だ。 僕は知っている。 使徒と呼ばれる生物がここを目指している事を。 「ごめんね、突然声かけて隣に座っちゃって。 迷惑じゃない?」 僕はそんな事ないよと答えて北園さんを見つめた。 良かったと呟いた北園さんが、急に黙り込んでしまう。 彼女のさっきまでの陽気な雰囲気はなくなり、不安そうに周囲を見渡し始める。 さっきから断続的に地響きが起こり、その度に照明が軋みを上げて揺れていた。 シェルター内に居る人々は恐る恐る天井を見上げ、見知らぬ人同士で地上で何が起きているのかを小さな声で話し合う。 この中で不安や恐怖を感じるなというのは無理な話だ。 僕はEVAのパイロットとして地上で戦っていたから分からなかったけど、シェルターにいる人たちは『恐怖』という敵と 戦っている事に僕は気が付いた。 「北園さん、怖いよね」 僕は北園さんの右手を左手で強く握り締めた。 「うん」 北園さんが握り返してくる。 「私、一人でここのシェルターに入っちゃったからとても心細かった。 周りを見渡しても知ってる人はいなかったし・・・・・・。 どうしようかなっと思ったときに御堂さんがいたの。 私と同じで一人で居るように見えたから思わず声をかけたのよ。 まぁずっ と周りの男達にサービスしてたのにはびっくりしたけどね」 「それは言わないでよ」 お互いの顔を見ながら笑いあう。 それから僕達は不安を消し飛ばすようにお互いの事を話し始めた。 内容は好きな異性のタイプやお気に入りの音楽や映画、特技や趣味について。 北園さんは、ジャズが好きで自分でもアルトサックスを演奏しているらしい。 僕もチェロを弾けるよと言うと、今度セッションしてみようかと言われた。 それもいいねと言うと、絶対よと指きりげんまんをさせられた。 「ねえ、私の事晴子って呼んで。 北園さんじゃなんか背中がくすぐったくなる」 「うん、僕も蒼花でいいよ」 僕らはお互いを下の名前で呼び合いながら話を進めていく。 「ねえねえ、私第壱中学校に通ってるんだけど蒼花はどこに通ってるの?」 「僕はまだこっちに来たばかりだから、まだ学校には行ってないんだ」 「ふ~ん。 でもこの辺りに住んでるんだったら同じ学校だろうね」 一緒になれたらいいねっと晴子が微笑む。 僕が黙って頷いたその時だった。 バチンッ! 嫌な音が響いて突然シェルター内の照明が全て消えてしまった。 怯えた晴子が僕の手を両手で握りしめてくる。 ガクンッと足元が揺れたと思った瞬間、激震が僕達を襲った。 怒声と悲鳴がシェルター内に飛び交う。 天井を突き破り、巨大な何かがシェルター内に突き刺さる。 悲鳴をあげて逃げ惑う人々の中、僕はそれを凝視する。 そしてその正体に気がついたとき、僕は叫んでしまった。 「そんな!? 初号機!??」 天井を突き破り、シェルター内に突き刺さったモノ。 それは初号機の左手だった。 初号機の左手はぴくりとも動かず、沈黙したままだった。 「皆さん! 落ち着いて緊急避難用通路から八番シェルターに移動してください!」 係員が大声で指示を出し始めた。 人々の波が緊急避難用通路に流れていく。 「蒼花、私達も行こうよ!」 「駄目! 間に合わない!」 沈黙したままの初号機をサキエルが見逃すはずがない。 もうすぐそこまで来ているはずだ。 初号機を動かさないとここにいる人たち全てが危険に晒されてしまう。 「晴子! 僕の事はいいから早く逃げて!」 「ちょっ! 蒼花!?」 呼び止める晴子を振り切って、僕は初号機に向って走り始めた。 崩れたコンクリートの天井をよじ登り、初号機の左手を伝って地上に出る。 初号機はシェルター上のビルに寄りかかるようにして倒れていた。 半壊したビルを梯子代わりにして、初号機の背中に取り付く。 緊急射出装置のボタンを押してエントリープラグをハーフイジェクトさせる。 開閉ボタンを押してエントリープラグを開けて、僕は中に飛び込んだ。 シュンっと言う音と共に、エントリープラグが元に戻る。 オレンジ色の懐かしい液体と血の匂いが僕に纏わりついてきた。 肺から空気を出してLCLを取り込んで操縦席に向う。 操縦席の上には、黒髪の男の子が気絶していた。 そっと顔を覗き込んでみる。 懐かしい僕の顔がそこにあった。 間違えなく、『碇シンジ』だ。 感動の再会も程ほどに、僕は彼の頭からヘッドセットをもぎ取る。 彼を操縦席から無理やり降ろして、僕は懐かしい操縦席に身を沈める。 ヘッドセットを頭に装着して、僕は操縦桿を握り締めた。 幸いな事に通信機器が壊れていて、発令所の声は全く聞こえなかった。 「問題はこれからか・・・・・・」 初号機は動いてくれるだろうか・・・・・・。 僕は一か八かの賭けにでることにした。 左腕をそっと上にあげるイメージを頭に浮かべる。 ズズッと鈍い音がして、初号機の腕が上がっていく。 「よしっ! 動いた!」 そのままゆっくりと初号機を起き上がらせて、シェルターから離れる。 僕の視界の中に、サキエルの姿が映り込んだ。 躊躇せずウェポンラックを跳ね上げ、プログレッシブナイフを装備する。 「いっけええええええええ!」 サキエルめがけて初号機を思いっきり走らせる。 サキエルが僕に向って片手を突き出した。 光の槍を使うつもりだ。 僕は頭に初号機が上半身を屈めるイメージを浮かべた。 すぐ反応する筈の初号機が一瞬遅れて上半身を屈める。 光の槍が、初号機の装甲を僅かに掠った。 「くっ・・・・・・なんだよこれ」 初号機は、僕のイメージした動きを一テンポ遅らせてトレースしていた。 それどころか、時々僕の意に反した動きをしようとさえする。 「くそ、人生やっぱりそんなに上手くは行かないか」 サキエルに蹴りを喰らわせて距離を取る。 「はぁ・・・・・・はぁ、どうしたものかなこれは」 「んっううん・・・・・・」 操縦席の下から唸り声が聞こえた。 碇シンジの瞳がゆっくりと開いていく。 頭を振りながら起き上がった彼が、操縦席に座る僕を見て絶叫した。 「ええ!? 何!? なんでメイド服を着た綾波がいるの!??」 「うるさい!!」 僕には彼に返事を返す余裕がなかった。 サキエルが容赦なく光の槍を連続で繰り出してきたからだ。 必死に初号機を動かして、それらを全部避ける。 「何!? なんなの一体!??」 戸惑う彼の声に反応するかのように、初号機の動きが一瞬止まった。 その隙を突いて、サキエルの左腕が初号機の右腕を掴み取る。 しまったと思ったときには、僕の腕は潰されていた。 「あああああああああああああああああああああっ!」 激痛に僕は悲鳴をあげる。 「こんちくしょうっ!」 カウンター気味に右膝蹴りをサキエルの胴体に叩き込んで、怯んだ所を前蹴りで吹き飛ばす。 「はあっはあっはあっ」 右腕を押さえながらサキエルを睨みつける。 内部電源は既に1分を切っていた。 「ねえ? 大丈夫?」 「お願いだから黙って!」 僕の怒鳴り声に彼は黙り込んだ。 「うあああああっ!」 襲ってくる光の槍を紙一重で避けて懐に飛び込む。 タックルの要領でサキエルを転ばせて僕はマウントポジションを取った。 拳を思い切り振りおろす。 コアに突き刺さる直前、ATフィールドが展開される。 「甘いんだよおおおおおおお!」 初号機のATフィールドを展開して、サキエルのATフィールドを中和する。 中和されたフィールドを簡単に引き裂きながら、初号機の拳がサキエルのコアに炸裂した。 真っ二つに割れるサキエルのコア。 ぎゅんっとサキエルの身体が変化して、初号機に抱きつこうとする。 予想通りの動き。 僕はサキエルの身体を下からの強烈なアッパーで宙に浮かせた。 そしてそのまま蹴り上げる。 轟音と共に上空で爆発するサキエル。 激震がエントリープラグを襲った。 「うあっ」 碇シンジが悲鳴を上げる。 「くううううぅぅ!」 僕は瞳を閉じて必死に激震に耐えた。 「や・・・・・・やっつけたの?」 激震が止んだと同時に碇シンジが話しかけてくる。 「多分ね・・・・・・もう限界。 変・・・・・・わって・・・・・・」 ヘッドセットを彼に渡そうとした瞬間、僕を激しい眩暈が襲った。 視界がぐらぐらと回り始めて、意識が遠ざかっていく。 彼が必死に僕に何かを訴えているけど、何をいっているのか分からない。 「大丈夫・・・・・・だから・・・・・・」 僕の言葉は気泡とともに、虚しくLCLの中に溶けて弾けた。 『・・・・・・先生、佐伯先生。 至急外科病棟までお戻り下さい』 遠くでアナウンスが聞こえた。 意識が夢から現実に引き戻されていく。 「・・・・・・病院?」 全てが白一色で統一された部屋。 開けられた窓から、生温い風が入り込んでカーテンを揺らしている。 入り込む日差しが眩しかった。 「あら、起きたのね」 傍にいた看護婦さんが、微笑みながら僕の腕をとって脈を測る。 「あの・・・・・・ここは?」 「病院よ」 あまりにも単純な答えが返ってきた。 「まだ顔色が悪いわね。 寝ていなさい」 看護婦さんは僕をベッドに寝かせて、病室から出て行った。 頭に鈍痛が走る。 気分もあまりよく無かった。 身体を少し横にずらして瞳を閉じる。 そうだった・・・・・・確か初号機に乗ったんだよね。 サキエルの姿が頭に浮かぶ。 ぽっかりとサキエルを倒した後の事が、記憶から欠けていた。 シュッと、扉が開く音がした。 誰かが病室に入ってくる気配がする。 薄目をあけると、赤い花が生けてある花瓶を持った『僕』が、つまり『碇シンジ』が入ってきた。 (なんでここにいるんだろう?) 不思議に思う僕の目の前で、彼の身体がぐらりと揺れた。 「あっ!」 という叫び声と共に、彼の手から花瓶が投げ出され、スローモーションで僕に向って飛んでくる。 避ける暇なんて無かった。 花瓶は僕の腰に当たり、生けられた花が散って、零れた水が布団を濡らしていく。 あまりの痛さに何も言えない僕を放置して、彼はおろおろしながら花瓶を棚に置いて花を生けなおす。 僕は腰を押さえながら上半身を起こして、彼を睨みつけた。 「何するんだよ・・・・・・」 僕の怒気を含んだ声に彼が大声で弁解を始める。 「ごめん! わざとじゃないんだよ!」 必死に謝る彼の姿に、怒る気力が削がれる。 「悪いけど、ちょっと部屋から出てくれない?」 零れた花瓶の水が僕の服を濡らしていた。 彼はきょとんとして、僕の顔を見つめた。 やがて僕が言いたいことが分かったのか、彼は慌てて病室を飛び出していく。 彼が出て行った後で扉に鍵をかけて、棚の上、花瓶の横に置いてあった自分の服を取る。 LCLの臭いはしなかった。 クリーニングに出されていたのだろう。 着ている物を脱いで腰を見てみると、青痣が出来ていた。 「うわぁ、これ明日になったらもっと青くなるんだろうな」 軽く青痣に触れてみる。 鈍い痛みが走った。 僕はメイド服に着替えると、ナースコールを押して看護婦さんを呼んだ。 「こりゃまた派手にやっちゃったわね」 濡れているシーツを剥ぎ取って、新しいシーツにてきぱきと取り替えながら 看護婦さんが笑いながら言う。 さっきの看護婦さんとは違う看護婦さんだった。 年は二十歳ぐらいで、長い髪をピンで留めている。 くるくると良く動く瞳が印象的な人だなと僕は思った。 「ごめんなさい」 看護婦さんに向って、碇シンジが泣きそうな顔をして謝る。 「それは私に言う事じゃないでしょ? 彼女にちゃんと謝った?」 看護婦さんが苦笑いしながら彼に言う。 「いいですよ。 僕はもう気にはしてないですから」 僕の言葉にほっとする彼。 「まぁでも責任は取ってもらいますけど」 ぎくっと身体を固める彼が面白かった。 「蒼花、入るわよ・・・・・・って何かあったの?」 病室に入ってきたリツコさんが、シーツを取り替える看護婦さんと悲しそうに佇む碇シンジを見て、怪訝そうな面持ちで僕に聞いてきた。 「彼がいきなり転んで僕の上に花瓶を落としたんですよ」 「・・・・・・なんですって?」 リツコのさんの口調が絶対零度の冷気を帯びる。 碇シンジが、ぶるぶると震えながら後ろに下がる。 恐る恐る顔を上げてリツコさんの顔を見た僕の顔が引き攣った。 ・・・・・・そこには般若が居た。 「シンジ君・・・・・?」 びくりと彼は身体を振るわせた。 「崩壊したシェルターから蒼花を助け出してくれた事には凄く感謝しているわ。 機転を利かせてエントリープラグに蒼花を入れなかったら 彼女がいまどうなっていたのか分からない。 でもねっ!」 リツコさんがぐいっと碇シンジの襟を掴んで引き寄せる。 「この子は私のモノなの! それを傷つけることは万死に値するわ! それに・・・・・・」 襟から手を離したリツコさんがぎりぎりと首を締め上げていく。 彼の顔がどんどん蒼白になっていった。 「あなたのそのドジっぷり、どうにかしなさい! 先の戦闘でもそう! 地上に出たとたん、何もない所で転んで 顔面損傷した挙句に、モニターを含む通信機器全てをおしゃかにするなんて問題外よ!! 別に戦闘で壊れ たなら何も言わないわ私も! けど戦闘外の行動で壊すなんて馬鹿の極致よ!!! あなた技術部全員に喧 嘩売ってるつもり!?? そうよね、そうに決まってる!」 「ちょっ、ご、じゃなかったリツコさん落ち着いて! 死んじゃうよ!」 容赦なく首を絞め続けるリツコさんの手を押さえて、必死に訴える。 ようやく手を離してくれたときには、彼の首には真っ赤な手の跡が残っていた。 むせる彼が少し気の毒になったけど、さっき花瓶をぶつけられたので放っておく。 「それで、怪我はなかったの?」 「はい、大丈夫です」 リツコさんの変わりように少し呆れながら、僕は頷いて答えた。 「そうそう、あなたがエントリープラグ内から彼に抱かれて出てきた時の、赤木博士の慌てぶりは凄かったわよ~」 突然、思い出したようにそう言った看護婦さんが、リツコさんを見てにやりと笑う。 「私救急班だったからその場に居たんだけどね。 あの冷静さがとりえの博士が凄い勢いで取り乱したのよ? 聞いてみたら同居人の子だっていうから仕方がないと思ったけど、あれは今の勢いより凄かったわ・・・・・・」 「え?」 リツコさんを見ると恥ずかしそうに俯いていた。 リツコさんは僕が初号機を動かしていた事を知らないみたいだった。 ああ、そうか・・・・・・モニター類は全部死んじゃってたから、僕が動かしていたとは分からないのか。 でも僕が崩壊したシェルターから救出されたっていうのはどういう事だろう? ふと碇シンジを見ると、彼はぱちりと片目を瞑った。 どうやら彼が嘘の報告をしたらしい。 どうでもいいけどその仕草は我ながら似合わないよと思いながら、僕はリツコさんに頭を下げる。 「心配かけてごめんなさい」 「全く寿命が縮んだわよ」 リツコさんが僕の髪をくしゃくしゃと撫でる。 「まあ、蒼花ちゃんも元気になったみたいだし。 私から先生に言っておくから退院しちゃいなさい」 看護婦さんが笑いながら言った。 「え? でも勝手にそんな事しちゃっていいんですか?」 「ネルフのトップ3がそこにいるでしょ?その人が良いって言ったら問題ない無し!」 凄い理屈をいって親指をびしっと上げながら看護婦さんが笑う。 「ふふ、確かに問題ないわね。 蒼花、退院よ」 それをさらっと実行するリツコさん。 「ははは・・・・・・」 苦笑いをしながら、お互いに怪しく笑いあう二人を見つめる。 二人の隣では、碇シンジが青ざめたまま引き攣った笑いを浮かべていた。 妙に明るい看護婦さんに見送られて、僕達は病室を後にした。 病室を出る際に名前を聞いてみたら、『洞木コダマよ! よろしく!』と握手をしてくれた。 委員長の洞木さんと同じ苗字だから、彼女と何か関係がある人なのかなと思ったけど聞くのはやめた。 僕は中学校に行ってないから、聞いたらリツコさんに変に思われるだけだと思ったからだ。 変と言えば、コダマさんの名前を聞いたときの彼の様子がおかしかった。 はっと口を開けた彼は悲しげに、何か懐かしいモノを見つけた子供の様な瞳でコダマさんを見つめていた。 時折泣きそうな顔をしながら宙に視線を泳がせる。 それはまるで涙を堪えているかのように見えた。 僕はそこで気がついた。 彼は少なくとも僕自身が知っている『僕』では無いという事に。 僕の知らない正体不明の『僕』であり『碇シンジ』がそこにいた。 心の中に言いようのない嫌悪感が生まれる。 それは自然と隣を歩く彼との距離に現れた。 肩と肩の間を二メートル以上きっちり空けながら彼の方を絶対に見ようとしない僕に、 彼がちらりちらりと視線を向けてくるけど、僕は完全無視を決め込んだ。 そんな僕達をリツコさんは怪訝な面持ちで見つめ、途中で合流したミサトさんは首を傾げる。 しばらく歩くと、二手に別れた通路に出た。 「じゃ・・・・・・じゃあ私達はこっちだから! またねん!」 僕達に片手をあげて別れの挨拶したミサトさんが、彼を促がしながらそそくさと左の通路を歩いていく。 彼は複雑な表情をしながら僕を一瞥すると、軽くお辞儀をしてミサトさんの後ろを追いかけていった。 「蒼花? シンジ君あなたに何かしたの?」 「いえ。 何もしてないですよ」 「・・・・・・ならいいけど。 蒼花、悪いけど司令室まで一緒に来て」 「え?」 「司令がお呼びなのよ」 相変わらず無意味に広い部屋だった。 真ん中に机があって、両手を顎の下に組んだ父さんがサングラスを光らせている。 隣に立つ副指令の冬月さんの顔は暗くてよく見えない。 「すまなかったね。 ご足労を煩わして」 冬月さんが僕に向って優しい口調で言った。 いいえと言って僕は軽く頭を横に振る。 「さて、君に伝えなければならない事があるのだよ」 「なんでしょうか?」 「君が今回見た物を、今後一切他言しないようにしてくれないかね?」 「今回見たもの? あのロボット見たいなモノの事ですか?」 僕の言葉に冬月さんが大きく頷く。 「あれ自体とそのコックピット内は国家機密並に重要度が高くてね。 他言されると少し困ったことになる」 そこで言葉を切った冬月さんは、僕の瞳をじっと見つめる。 「・・・・・・よって、他言しない事を確約してくれなかった場合、君を一時拘束。 その後とるべき措置を施 した後で釈放という、我々にとって望まない手段を取らざるを得なくなるのだよ」 ようするに、やんわりと僕に確約しなければ酷い目に合わせるぞと言っている。 別に他人に言うつもりもないので、僕は深く頷いて同意した。 「分かってくれたか、ならばこれで話は終わりだよ」 「待て」 冬月さんの言葉を父さんの声が遮る。 「・・・・・・名前は?」 「御堂蒼花です」 「分かった。 覚えておく」 父さんの言葉に、冬月さんが困惑した顔を浮かべた。 「碇?」 「何でもない」 父さんは黙ったまま僕の顔を見つめていた。 「はぁ・・・・・・かなり心臓に悪かったわ」 司令室を出た後で、リツコさんが溜息をつく。 「あの髭の人、かなり怖かったです」 「そう? 可愛いところもあるのよ、あれでも」 「ちょっと、想像できないかも・・・・・・」 リツコさんの言う可愛い父さんってどういう父さんなんだろうか? 想像しようとして僕は止めた。 駄目だ、精神的被害が大きすぎる。 「私はこれから今日の後始末があるから、ここに残らないといけないの。 たぶん徹夜になるわ」 「分かりました」 「あ、マヤ! ちょっといい?」 廊下を曲がろうとしていたマヤさんを見つけたリツコさんが、マヤさんを呼ぶ。 「あ! せんぱ~い!!」 とたとたとバインダーを抱えたマヤさんが、こちらに向って走ってきた。 「むっ!?」 僕の姿を見たマヤさんが、僕に敵意剥き出しの視線を投げつけてきた。 思わずリツコさんの後ろに隠れて視線を回避する。 「いい所にいたわねマヤ。 この子が私の同居人、御堂蒼花さんよ」 「ええ!? この子がですかぁ!?」 マヤさんがじろじろと僕を舐めるように見つめる。 「は、初めまして」 マヤさんが『へー』とか『ほー』とか言いながら、僕を観察し始める。 「レイちゃんに凄く似てますね」 童顔に可愛い笑顔を浮かべるマヤさん。 でも目が笑っていない。 「良く言われるんですけど、レイって誰なんですか?」 僕は不思議そうに首を傾げながら聞いてみた。 「あなたによく似た子よ」 リツコさんも話をあわせてくれる。 僕らの様子を見たマヤさんの頬が脹れる。 リツコさんはそんなマヤさんの態度など御構い無しに話を進めていく。 「マヤにお願いがあるのよ」 「何ですか! 何なりと言ってください!」 眼をきらきらと輝かせるマヤさん。 「私の家の場所は分かるわよね?」 「はい! もちろんです!!」 「この子を私の家まで送ってあげて」 「ええっ!?」 マヤサンが心底嫌そうな顔をした。 「わ、私今日の後始末がありますから!」 「あなたが数十分抜けても支障は無いわ。 それじゃあ頼んだわよ」 リツコさんはマヤさんを置いてさっさと行ってしまった。 残された僕達の間に嫌な空気が流れる。 「ちっ、しょうがないわね。 先輩の頼みだから送ってあげるわよ」 マヤさんが舌打ちをしながらのしのしと歩き始める。 どうやら僕はマヤさんに嫌われてしまったらしい・・・・・・。 (うわぁ、なんか凄い不機嫌だよどうしよう) 怯えながらマヤさんの後ろについて行く。 僕の心に不安の塊が重く圧し掛かっていた。 (昨日のマヤさんは凄かったな) 熱いシャワーを全身に浴びながら、僕は昨日の事を思い出していた。 車の中では終始無言。 車から降りた僕に『先輩に手をだしたら許さないからね!』と大声で怒鳴ると、 車を急発進させてあっという間に去ってしまった。 なんであんなに嫌われているのか、理由を考えてみたけど分からない。 「今度さりげなく聞いてみよっと」 そう呟いて、僕はシャワーを止めて腰を見た。 青痣が昨日より濃くなっている。 リツコさんに見つかるなと思いながら、バスルームを出て身体を拭いた。 服を着て居間に出た僕は、電話の留守番ランプが点滅しているのに気が付いた。 再生ボタンを押す。 ピーという電子音と共に音声が流れ始めた。 『もしもし? リツコです。 もう寝てると思うから用件だけ言うわ。 明日こっちまで服と下着を持ってきて。 それじゃあ頼んだわよ』 プツッと音がして、再生が終わった。 下着と服って適当に選んだものでいいのかなと思いながら、僕はリツコさんの部屋に行く。 箪笥の一番上を開けて中を覗く。 そこには俗に言う大人の下着が沢山入っていた。 黒や赤や白や紫やら色とりどりで、しかもショーツは全部がきわどいカットで透けている。 もちろんブラも透けていて、着けると胸の先端がくっきり見えてしまうものだった。 顔が紅潮するのを感じながら、やっぱりリツコさんだなと納得して、部屋にあったボストンバッグに下着を数着適当に選んで詰め込む。 それから同じように、箪笥の二段目から服を適当に選んでボストンバッグに詰め込んだ。 膨れたボストンバッグを肩にかけて、リツコさんの部屋を後にする。 それからソファーにボストンバッグを置いて、簡単に朝食を取ってから家を出た。 蝉が狂ったように鳴いていた。 陽炎が坂の上で揺れる。 流れる汗を手の甲で拭いながら、僕はバス停に向かって歩いていた。 バス停はリツコさんのマンションから少し坂を上った所にある。 距離はそう遠くないけれども、この暑さの中を荷物を持って歩くのは結構きつい。 バス停に着く頃には汗だくで、僕はボストンバッグをベンチに置いて木陰に入り暑さを凌いだ。 十分もしないうちにバスが来る。 バスに乗った僕は一番後ろの席の窓際に座った。 車内は冷房が良く効いていて、火照っている身体を冷やしてくれた。 窓の外を見てみる。 作業服を着た人達が走り回って、先の使徒戦の復旧作業を急ピッチで行っていた。 (人間は地震が来ようが使徒が来ようが、生きるための営みを止めない生物なんだね) なんて少し固い事を考えながら、流れていく景色を眺める。 バスがかくんと揺れた。 三十分後、ネルフ本部前に着いた僕はある事に気がついた。 本部内に入る為のIDカードが無い。 「嬢ちゃんどうしたとや?」 ゲート前で立ち往生して困っている僕に、一人のおじさんが話しかけて来た。 おじさんはベージュ色のネルフの制服を着て、赤いベレー帽のような帽子を被っている。 「あの、届け物があって来たんですけど入れなくて・・・・・・」 おじさんの瞳がすっと細くなった。 「嬢ちゃん悪かけどその荷物の中身ば見せてくれんね?」 「えっ?」 おじさんの言葉に僕は戸惑った。 中身が中身なだけにどうしようかと迷う。 「見せられんようなものとや?」 おじさんの瞳は笑っていない。 僕はしぶしぶとボストンバッグを下ろした。 「それじゃ失礼するばい」 チャックを開けたおじさんが中身を確かめていく。 丁寧にボストンバッグの底から小さなポケットを調べていくおじさんを僕は黙って見つめていた。 「御協力ありがとな嬢ちゃん」 ボストンバッグの中を確かめ終えたおじさんが、頭を下げながら言う。 「いえ、大丈夫です」 少し嫌な気持ちになっていたけど、仕事をしてるんだからしょうがないと自分を納得させた。 「ところで嬢ちゃん。 その荷物を誰に届けるとや?」 「赤木博士です」 「分かった。 ちっとついてき」 歩くおじさんの後ろについていく。 おじさんがゲートの横にある詰め所の様な建物に入った。 入ってもいいのかと迷う僕に、おじさんがドアから手を出して『入って来い』と合図する。 中に入ると、ステンレス製の机と中央に置かれた丸テーブルが目に入った。 おじさんは机の前に立ちながら、どこかに電話をしていた。 「はい、はい、はい。 分かりました。 それではそうしときます。 はい、失礼致します」 受話器を置いたおじさんが僕の方を向く。 「赤木博士と連絡が取れたけん、この仮カードば発行しとくばい」 おじさんは、机の中から青色のカードを取り出した。 「ありがとうございます」 僕は頭を下げておじさんにお礼を言った。 おじさんからカードを受け取り、出入り口に向う。 出入り口付近で一旦振り返えり、軽くお辞儀をしてから僕は詰め所を後にした。 ボストンバッグを抱えて歩く僕を見たネルフの職員達が、ぎょっとした目で僕を見る。 それはそうだろう。 綾波レイに瓜二つのメイド服を着た女の子が、ボストンバッグを抱えて歩いているのだから。 周囲の視線を無視して、僕はリツコさんの研究室を目指す。 (うろ覚えだったけど、確かこっちだったよね) そう思いながら、通路の角を左に曲がった時だった。 前から見慣れた顔が二つ、こちらに向かって歩いてくる。 長髪で少し目つきの悪い男と短髪で眼鏡をかけた男。 青葉さんと日向さんだった。 日向さんが僕に気が付いた。 青葉さんも立ち止まり、僕に視線を向ける。 「レイちゃん・・・・・・じゃないよな?」 日向さんが呟いた。 「確か君はこの前の戦闘でシンジ君に助けられた子だよね?」 青葉さんが僕を見つめながら言った。 「はい。 御堂蒼花と言います。 この間はご迷惑をおかけしました」 深々と頭を下げて謝る僕に、二人が慌てる。 「いやいや、そんな」 「こちらこそ怖い目に遭わせてしまってごめんな。 ほら、もう顔を上げて」 そう言って二人は僕の頭を上げさせて、互いに顔を見合わせ苦笑した。 「ところで、御堂君は今日はなんでここに?」 青葉さんが尋ねてくる。 「赤木博士に届け物があって」 僕は肩にぶら下げたボストンバッグに視線を向ける。 なるほどと頷く青葉さん。 「でも何で君が?」 日向さんが不思議そうな顔をする。 「 僕は今赤木博士の家にお世話になっていて、昨日電話があったから・・・・・・」 「ああそうか、君が赤木博士が言っていた同居人なのか」 そうですと僕は日向さんの問いに頷いて答える。 「ここは初めてだろ? 赤木博士の研究室の場所は分かるかい? 良かったら案内するよ」 青葉さんの提案に、日向さんはやれやれと肩を竦めて頭を横に振る。 「お前そう言う趣味なのか?」 「妙な誤解を招く発言はやめろ」 鋭い眼光が日向さんに向けられた。 僕は道案内を青葉さんにお願いする事にした。 道に迷わなくて済むかなと思ったからだ。 日向さんは『残っている仕事があるから』と言って、自分の持ち場に戻ってしまった。 「じゃあ行こうか」 そう言っていきなり歩き始めた青葉さんの後ろを慌てて追いかける。 廊下を何回か右左に曲がりながら進む青葉さん。 後ろ姿を見ながら、僕は青葉さんは優しくて頼りになる人なんだなと感じていた。 「ここだよ」 五分程歩いて、青葉さんが研究室の扉の前で立ち止まった。 「ありがとうございます」 「これぐらいなら全然構わないさ。 それより・・・・・・」 青葉さんは胸ポケットのメモ帳を一枚千切ると、ボールペンで何かを書いて僕に渡した。 受け取って見てみると、小さく電話番号が書かれている。 「それ、俺の電話番号だからよろしく」 じゃあなと片手をあげて青葉さんは去っていった。 渡された物の意味が分からずに、僕はしばらくその場に佇んでいた。 そしてようやくその意味に気がつく。 「もしかしてこれって・・・・・・ナンパされたの?」 僕の呟きは、背後から聞こえた扉の開閉音で消された。 「あら、蒼花? 迎えに行こうかと思ってたんだけどよくここが分かったわね」 僕の姿を見つけたリツコさんが少し驚いたように言う。 「親切な男の人が案内してくれたんです」 「・・・・・・なるほどね。 早く中に入りなさい」 リツコさんが手招きをした。 「御主人様、これが着替えです。 適当に選んできましたけど大丈夫ですか?」 部屋に入った僕はボストンバッグを床に置いてリツコさんに尋ねた。 片手に持っていた資料を机の上に置いて、リツコさんがボストンバッグを開ける。 しばらく中身を漁っていたリツコさんは、盛大に溜息を漏しながら天を仰いだ。 それを見た僕は不安になった。 「何か御気に召さない物が在りましたか?」 思い切って聞いてみる。 「いいえ、その逆よ。 お気に入りの物ばかりで助かったわ」 リツコさんが苦笑しながらボストンバッグのチャックを閉めた。 その言葉にほっとしたのも束の間、いきなりリツコさんが僕の左手首を掴んだ。 そのままぐいっと強く手首を引き寄せられる。 あっと思った時には、僕は既にリツコさんの腕の中にいた。 「ご、御主人様?」 「いいじゃない。 休憩休憩」 リツコさんの右手がゆっくりと僕の右胸を揉み解していく。 ぴくんと身体が震えた。 左手で頤を上に向けられ舌を吸われる。 その甘い感触に僕の身体が段々と熱を帯びていく。 「んふっ・・・・・・」 「あぁ・・・・・」 お互いの唾液が混ざリ合う音が部屋に響いて、荒い息が漏れる。 リツコさんの舌が僕の下唇をすっと撫でた。 ぞくっとする快感が唇に広がり、白衣を握りしめる手に力が入る。 僕の反応を楽しむように、リツコさんが軽く耳朶を齧った。 優しく何回も耳朶を齧られる度に、頭が蕩けそうになる。 「ご、御主人・・・・・・様! 人が・・・・・・来、てしまいますよ?」 僕は弾む息を必死に抑えながらリツコさんに訴える。 「大丈夫よ」 リツコさんは机の上にある端末のキーを叩いた。 金属音がして、扉の中央部に付けられていたランプが緑色から赤色に変わる。 「ちゃんとロックしたわよ?」 リツコさんは僕を自分の膝の上に後ろ向きで座らせて、右手で僕の胸を弄びながら左手をショーツの中に這わせていく。 指が茂みを掻き分けて谷間に浅く侵入すると、ゆっくりと円を描くように動き始めた。 「あぅっ! はぁ!」 「いやらしい声を沢山聞かせて? ほら、もっと腰を動かすのよ!」 秘部に当てられていた指が、ぐっと奥深くに侵入してくる。 僕の秘部は三本の指を飲み込んでいた。 その指の一本一本、全てが違う動きをしながら僕の肉壁を擦り、縦横無尽に暴れまわる。 「あぐっ! あああぁぁあっ!!」 強烈な刺激に、口から涎を垂らしながら僕は激しく腰を揺らした。 「いいわ! いいわよ蒼花!!」 リツコさんの指が容赦なく僕の秘部を責め続ける。 その度にぬちゃぬちゃと淫靡な音が響いた。 「ああぁん! あはうっ!! 」 もう何も考えられなかった。 リツコさんの指技で意識朦朧になりながら、僕は腰を振り続けた。 後もう少しで絶頂に達する、その時だった。 ビィン。 突然の電子音。 リツコさんが指を止めて息をのむ。 扉中央部の、赤色のランプが緑色に変わった。 リツコさんが慌てて僕を机の下に押し込む。 「せんぱ~い! 忘れ物ですよ~!」 満面の笑みを浮かべて入ってきたのはマヤさんだった。 「ええ、ありがとう。 わざわざ持ってきてもらって」 平静を装いながらリツコさんが答える。 「いいえ~。 先輩の為なら火の中水の中ですよ!!」 元気なマヤさんの声がきんきんと部屋を震わせた。 机の下からマヤさんを見上げる。 一瞬目があった様な気がした。 僕は慌てて身体を奥に移動させる。 「それじゃあ、私行きますね! 失礼します!」 マヤさんは、開いた扉の向こうで軽く敬礼して部屋を後にした。 扉が閉まる瞬間、にやりと笑った気がしたのは僕の気のせいだろうか? 「な・・・・・・なんで? ちゃんとロックしたはずよ? それが解除されるなんてありえない」 カタカタと端末のキーを叩く音と、リツコさんの声がする。 どうやらショックの余り、机の下に居る僕の事を忘れているようだった。 ふと前を見ると、形の良いほっそりとしたリツコさんの脚があった。 スカートの奥の赤色の三角まで丸見えになっている。 僕の心にちょっとした悪戯心が湧いた。 僕はそっとリツコさんの内股に手を伸ばす。 「んぁっ!? ちょっ、蒼花?」 内股をさする僕の手にリツコさんが狼狽する。 「御主人様、忘れちゃ嫌です」 「んっ! 分かったから早く出てきなさい」 リツコさんは動き回る僕の手を押さえて、机の下から僕を引っ張りだした。 「まったく困った子ね」 軽く溜息をついたリツコさんが煙草に火をつけて紫煙を吐き出す。 「続きはまた今度よ」 少しがっかりしながら、僕は乱れたメイド服を整える。 ショーツは僕の愛液でびしょびしょに濡れていた。 早く家に帰って着替えたかった。 気持ち悪くて堪らない。 「それじゃあ、家に帰りますね」 「ああ、蒼花。 これを持って行きなさい」 部屋を出ようとした僕を呼び止めると、リツコさんは僕に大きな紙袋を渡した。 「何ですかこれ?」 「制服よ。 中学校の」 「え?」 「明日から中学校に通うのよ。 第壱中学校にね」 「え? ええ?」 「もう手続きは完了してるから。 あと学校の場所は地図が入ってるからそれを見てね」 背中を向けたまま、淡々と告げるリツコさん。 「は、はい分かりました」 なんとか返事を返す。 あまりに急な展開に頭が混乱していた。 第壱中学校という事は、またケンスケやトウジや洞木さん達と一緒になるのだろうか? 紙袋を持って突っ立っている僕にリツコさんが怪訝な顔をする。 「どうしたの?」 「い、いえ。 学校に行けるなんて思っていなかったものですから」 ふっと笑ったリツコさんが、僕の頭をくしゃくしゃと撫でる。 「あなたはまだ義務教育を受けないと行けない年齢だしね」 優しい声に僕の顔が綻ぶ。 「それにね」 くくっと不気味に笑うリツコさん。 「制服プレイって一回やってみたかったのよ!」 その言葉に僕の顔が引き攣った。 『明日の朝一番までには絶対に帰るから!』 と叫ぶリツコさんの姿を思い出しながら、僕は家のドアを開けた。 早速自分の部屋に行って紙袋を開け、箱の中から制服を取り出してみた。 「ブラウス、リボンにベストとスカートって・・・・・・何これ!?」 ブラウス、リボン、ベストには何の問題も無い。 問題は、スカートだ。 どうみても丈が短い。 試しに着てみると、膝上五センチぐらいの長さしかなかった。 「これじゃ座る時とか階段を登る時とか見えちゃうよ・・・・・・」 僕はぶつぶつと文句を言いながらも、残りの制服一式を着る事にした。 ブラウスのボタンを留めて、裾をスカートの中に入れる。 それからリボンを結んでベストを着込んだ。 軽くブラウスの裾を引っ張って皺を伸ばす。 スカートを軽く叩いてから僕は鏡を覗き込んだ。 薄緑色のスカートとベストに、赤色のリボンが映えている。 男だった時には全く気が付かなかったけど、壱中の制服はかなり可愛い。 僕は鏡台の前でくるっと回ってみた。 薄緑色のスカートがふわっと捲れて、際どいラインが見えそうになる。 「リツコさんに丈を元に戻して下さいって頼もうかな」 ・・・・・・無駄な足掻きだと思うけど。 その後、深夜二時過ぎに帰って来たリツコさんに『丈を元に戻してください!』と訴えたけど、 案の定、『駄目』の一言で見事に却下されてしまった。 この時点で、僕の『ミニスカート転校生、壱中デビュー』は確実なものとなってしまう。 「うう・・・・・・勘弁してようぅ」 僕はさめざめと布団の中で泣きながら、瞳を閉じた。 ちなみに眼鏡をかけた旧友が、どこまでも追いかけてきて写真を取り捲るという悪夢に、僕が朝までうなされたのは言うまでもない。 続く 「御主人様~、起きてください朝ですよ」 リツコさんの肩を揺らしながら声をかける僕。 「んん・・・・・・」 軽く唸りながらリツコさんが寝返りを打つ。 素肌にシャツ一枚だけといういつものスタイル。 そのシャツの間から重量感ある胸と白い肌が見えて、僕の視線が釘付けになる。 男の欲情とは違う感情が胸に沸いてきた。 それは女性としての肉体への憧れ。 リツコさんの重量ある胸がうらやましい。 僕は制服の上から自分の胸を触ってみた。 もうしわけない程度のふくらみが、僕の両手にすっぽりと包まれた。 もう一度リツコさんを見て、自分の胸元を見る。 どうやったらこんなに大きくなるんだろう? 少し悲しくなって僕は比べるのをやめた。 最近、僕は自分の精神が女性化してきているなと思う時がある。 心は男でも身体が女性というのが影響しているのだろうか。 感情の起伏が激しくなったし、甘いものを好んで食べるようになっていた。 コンビニでファッション雑誌を読んだりもする。 まあ、僕の場合は私服がメイド服だから、あまり関係ないけど・・・・・・。 もしかすると、リツコさんに色々とHな事をされたことも女性化に原因があるのかな? 唇に人差し指を当て、これまでの事を思い出す。 他人にはとても言えない淫靡な映像が次々と脳裏に浮かんでは消えていく。 思い出していく度に、僕の顔は真っ赤になっていって・・・・・・。 駄目だ! 思い出しちゃ駄目だ!゙ あまりの恥ずかしさに、僕は顔を左右に振って思い出すのを止めた。 「蒼花、あなたさっきから何してるの?」 何時の間にか起きていたリツコさんが、呆れた顔をして僕を見ていた。 「あ、お、おはようございます!」 「ふふ、おはよう」 いきなり僕の手首が掴まれた。 そのまま思いっきり引っ張られて、僕はタオルケットの中に引きずり込まれる。 チェシャ猫の笑みを浮かべたリツコさんの細い指が、制服の上を踊ってリボンを解き、ブラウスの下に入り込む。 「あぁ、ちょっ、制服ですよっ」 這い回る指を、片手でなんとか押さえながら僕はリツコさんに訴えた。 「駄目。 このためにせっかく狸寝入りしてたんだから」 意地悪を言いながら、リツコさんがスカートのホックを外す。 「まさかこんなに早くプレイできるなんて!!」 「あぁん、ちょっ、あうっ!」 「ふふ、逃がさないわよ!」 「いやぁ、あっ、んっ!」 結局、僕は遅刻ぎりぎりの時間になるまで、リツコさんに責められたのだった。 「遅れる~! 遅れる遅れるっ!」 僕はたっぷりとバターを塗ったパンを口に咥えながら、学校に向かって必死に走っていた。 ふわりとスカートがめくれて、下着が見えそうになるけど僕は構わずに全力疾走。 恥ずかしいからって歩いて遅刻するよりはまだましだ。 坂道を一気に駆け下り、曲がり角を通り過ぎようとした時、 右側頭部に強い衝撃と激痛が走った。 何が起きたのか全く分からないまま、地面に尻餅をつく。 目の前に火花が散って、頭の中が真っ白になった。 「いててて・・・・・・」 涙目で、側頭部をさすりながら起き上がろうとしたら、 「ふごほご」 どこからか、不思議な声がした。 どうやら僕の身体の下からその声は聞こえているらしい。 はっと下を向くと、男子生徒が僕の下敷きになっていた。 そして男子生徒顔は、僕の太股に挟まっていて・・・・・・。 「うわぁああぁああぁああ!?」 思わず飛び起きる僕。 「ぷはぁ!!」 っと息を吐いて、男子生徒が頭を上げる。 男子生徒の顔を見た僕の顔が強張った。 ぶつかって来た男子生徒。 それは碇シンジだった。 彼は僕を見て一瞬固まり、そして急にうろたえ始める。 「あの、ごめんね。 怪我は無い? あと、それと・・・・・・」 もごもごと口の中で謝りながら、彼の顔が紅潮していく。 彼の視線がちらちらと僕のスカートに向けられていた。 「その、わざとじゃないんだ」 恥ずかしそうに俯いて言う彼。 その瞬間、ぼんっと僕の頭の中が爆発した。 「サイテー! 馬鹿っ! ヘンタイ! 馬に蹴られて死んでしまえ!」 意味不明な言葉を叫びながら、彼の身体を鞄でしこたま殴りつける。 「痛い! だからわざとじゃないってば!」 鞄の角での容赦ない攻撃に、彼が慌てる。 「もうお前なんか大っ嫌いだ!!」 彼の後頭部に渾身の力を込めた鞄が炸裂する。 「ぶべっ!?」 奇妙な声を上げて彼が沈黙した。 「もういやああああっ!」 僕は屍となった彼を踏みつけ、泣きながら学校に向った。 もちろん、時間内に学校に着くわけもなく。 「お前、転入初日に遅刻とはどういう神経してるんだ?」 髪を紫色に染めた教師らしからぬ先生が、出席簿で隣を歩く僕の頭を軽く叩いた。 「すみません」 頭の中で、碇シンジに呪詛を吐きながら先生に謝る。 この先生の言葉使いはかなり荒らいけど、一応女の人だ。 かなり身長が高くて百七十cmぐらいある。 僕の記憶に無い先生だった。 出撃とか訓練とかであまり学校に行ってなかったから、僕が覚えてないだけかもしれない。 先生の隣を歩きながら僕はそんな事を考えていた。 先生が教室の前で立ち止まった。 僕が転入するクラスに着いたらしい。 「ほら、ここがお前の教室だ」 上を見上げると、2-Cと書かれていた。 先生は『お前は少しここにいろ、呼んだら入れ』と言って教室の中に入っていった。 そして数分後。 先生の『よろこべぇ! 男子!』という声がして、『うおおおおっ!』という雄叫びが湧き起こった。 何が起きたのかまったく分からない僕。 正直かなり怖かった。 「いいぞ! 入って来い!」 「し、失礼します」 先生の声に、恐怖心を押さえてすごすごと扉を開ける。 さっきの熱気とは違う妙な雰囲気が教室を支配していた。 僕は教壇の前に立って、軽く唾を飲み込んだ。

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